コロナに負けないで!スポーツ界一丸のメッセージ「いまスポーツにできること」に込められた想い

ささえる
コロナに負けないで!スポーツ界一丸のメッセージ「いまスポーツにできること」に込められた想い
このコロナ禍で大きな影響を受けていたスポーツ界も、観客の入場制限はあるものの徐々に各種目で大会を開催する目処が立ちつつあります。さらに、トップアスリートのトレーニング再開が進むなど、少しずつスポーツ界にも日常が戻ってきました。
スポーツは本来なら健康的で、私たちにとって良い習慣であるはず。スポーツの「する」「みる」「ささえる」の仕組みづくりを推進するJSPO、日本スポーツ協会では、これまで、より多くの人々にスポーツや運動の機会を提供してきました。

しかし今、三密を避けなくてはならないコロナ禍において、スポーツを楽しむことが密を生み出し、むしろ害があるものになりかねません。

そんな状況の中、JSPOは日本におけるスポーツの統括組織として、コロナに立ち向かう人々へ、スポーツの力や可能性を届ける取組を中央競技団体(以下、NF)と協力しておこなってきました。

今回は担当者であるJSPO企画調整課の後藤 千穂主事に、JSPOとNFの想いを聞きました。

「コロナに負けるな!」まずは子どもたちにメッセージを

ーー最初に、今回のコロナの状況を受けて、JSPOが主体となって取り組んだことを教えてください。

まず何よりも、登校を自粛しなくてはならなくなってしまった子どもたちに向け、3月初旬に応援メッセージを送りました。たとえ授業がなくても適度な運動と、正しい生活リズムで免疫を下げないようにすることが大切だからです。他にも、子どもをメインターゲットに運動機会を創出するための事業も現在計画中(取材時)です。

例えば、われわれJSPOが考案したアクティブ・チャイルド・プログラム(以下、ACP)は、子どもたちに心身ともに元気よく育ってほしいという想いから生まれました。ACPは体を動かすことの楽しさ・大切さを子どもたちに知ってもらうためのプログラムですが、親子で一緒に楽しむことも可能です。

こうした誰でも楽しめるコンテンツを提案していくことによって、トップアスリートだけでなく、普段スポーツに親しみがない方など、より多くの方に運動をしてもらえたら嬉しいですね。

統括組織として、各団体の想いをまとめて伝えるのがJSPOの役割

ーーNFにおいても、「#いまスポーツにできること」と銘打った独自の取組がなされていますね。

NFでは独自にスポーツ関係者向けのコンテンツを公開するなど、コロナに対応した取組をかなり早い段階で始めていました。取組は、競技ごとにとても盛り上がっていましたね。

だからこそ、個別の動きだけで終わらせてしまうのはもったいない!競技ごとの盛り上がりだけではなくて、スポーツ界全体、さらには社会全体での広がりにすることで、より多くの方に情報を届けてスポーツの可能性を知ってもらうきっかけになればと思い、NFの取組をSNSで発信することにしたんです。

ーーなるほど。発信の背景にはJSPOとNFの間でどのような連携があったのでしょうか?

NFを統括する組織として、われわれJSPOもこういった社会情勢を見ながら「何か社会の力になることはできないか」と、悶々としていた事実がありました。そんな思いを募らせているタイミングで、自分たちの取組を周知する手助けをしてほしいと、NFが話を持ちかけてきてくれたのが直接のきっかけです。

NFの取組は、その競技に関係のある方以外にメッセージを届けづらい傾向にあります。実際、せっかく良い発信をしているのに、それが広がらないという悩みを抱えているNFの話も聞きます。

それに対し、統括組織であるJSPOならそれを横断的に取りまとめて発信できると思ったんです。

ーーたしかに、それなら普段スポーツに慣れ親しんでいない人含めて、JSPOとNF両者共通の想いを幅広く伝えられます。

ともに協力しつつ、様々な付加価値を生み出していくことができれば理想的です。まずは加盟競技団体に声をかけ、さらにわれわれ自身もホームページをチェック。取組を見つけては、こちらからもお声掛けさせていただきましたね。

投稿は社会全体を巻き込んだ、より大きな取組とするために「#いまスポーツにできること」というハッシュタグをつけています。

コロナ禍であらためて感じた"スポーツの持つ力"

ーーこうした取組をおこなってみて、どのような感触を得ることができましたか?

やはり、外出自粛で自由に外へ出ることができなくなった状況で、いつも以上に運動不足を実感して、運動への欲求を感じている方が増しているのではないでしょうか。

実際、緊急事態宣言下においても適度に体を動かすことが大切だということは、先ほどACPになぞらえてお伝えしたとおりです。

また、有名アスリートの応援メッセージやトレーニング動画を観ることを通して、こんな状況下でも皆さんに少しでも希望を持っていただける。そういったところにも、スポーツの持つ力や可能性をあらためて感じると同時に、JSPOとしてこれらを広く・しっかりと伝えていかなくてはならないという使命を再認識しました。

一人ひとりが望む"スポーツ"を。JSPOが担うべきはその仕組みづくり

ーー今後、日本に元気を取り戻すためにJSPOができること、やっていきたいことは何ですか?

オリンピック・パラリンピックや国際大会など、ハイレベルな競技力に皆さんの注目が集まりがちなのですが、JSPOとしては草の根的なスポーツ活動もしっかりと支えていくスタンスです。

たとえば運動一つとっても、激しいスポーツをしたい方、ゆったりスポーツをしたい方、単純に体を動かしたい方など、様々なニーズがあります。

こうしたニーズに合わせて、一斉教授型の選手育成だけでなく、幼児から高齢者、一人ひとりが本当に望む運動を実現できる仕組みづくりを考えていくことが、われわれJSPOはもちろん、その他のスポーツ団体が今後担うべき役割だと考えています。