未来の子どもたちのために、地域スポーツのこれからについて考える。『“スポーツ×地域課題解決”ネクスト会議』を開催しました。

中学校の運動部活動を地域に展開する「運動部活動改革」では、スポーツ庁をはじめ、さまざまな機関・団体が取り組み、JSPOでもスポーツ少年団の育成、総合型地域スポーツクラブの育成、指導者の育成などを通じて運動部活動を含めたジュニアスポーツの環境整備に取り組んでいます。 こうした取り組みに対し、令和3年度から国庫補助事業として「地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業」がスタート。JSPOと都道府県スポーツ協会の皆様が一体となり、安全・安心かつ幅広いニーズに応えられる地域のスポーツ活動の活性化、総合型クラブをはじめとする地域スポーツクラブへの支援など、スポーツを通じた地域課題の解決に取り組んでいます。それに伴い、JSPOでは総合型クラブ登録制度の運用・認証制度の確立を進め、2025年度から認証制度をスタートさせています。 部活動の地域展開をはじめ地域スポーツのあり方が変わろうとするなか、JSPOは関係者がそれぞれの課題を共有しながら共に課題解決していく機会として、2026年1月26日(月)、ベルサール八重洲(東京都中央区)で『“スポーツ×地域課題解決”ネクスト会議』を開催しました。

目次

『“スポーツ×地域課題解決”ネクスト会議』について
地域スポーツ活動の活性化に向けて、地域のスポーツ環境の基盤強化に取り組むためにJSPOが設置した地域スポーツ推進中央協議会と都道府県スポーツ協会が設置した地域スポーツ推進団体連絡会議が一堂に会し、我が国が抱える社会課題や地域課題を共有し、解決に向けた取り組みを協議・検討することで、幅広いニーズに応えられる地域のスポーツ環境の基盤強化を図ることを目的としています。
参加対象者
(1)地域スポーツ推進中央協議会
(2)地域スポーツ推進団体連絡会議関係者
(3)都道府県スポーツ協会役職員
(4)クラブアドバイザー
(5)地域課題の解決に取り組む意向がある民間事業者
(6)その他日本スポーツ協会が認めた者
事業実施内容
(1)日本スポーツ協会からの情報交換
(2)地域スポーツ推進中央協議会からの事例発表
(3)都道府県スポーツ協会(地域スポーツ推進団体連絡会議)からの事例発表
(4)情報交換
当日は会場に60名、オンラインで40名の方にご参加いただき、それぞれの立場で“スポーツを通じた地域課題”について考える機会となりました。

【日本スポーツ協会からの情報提供】地域スポーツ推進中央協議会の設置・開催と、都道府県スポーツ協会による事業について

(JSPO)
日本スポーツ協会クラブ育成課の藤原です。総合型クラブの育成や地域スポーツの発展に向けた取り組みを担当しています。
「地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業」は国庫補助事業としてスポーツ庁から補助していただき、我々日本スポーツ協会で取り組みの検討、そして中央協議会で会議体の設置をしています。そこからさらに都道府県スポーツ協会の皆様に活動支援の取り組みを促進していただくため、都道府県の中で連絡会議を設置・開催し、補助金などの申請をおこなっていただいています。

連絡会議においては、行政、その他スポーツ関係団体、もちろん都道県スポーツ協会の中にある総合型クラブや少年団に関する組織体などの関係者の方々が、一堂に会して連携体制を構築し、地域の課題解決に向けた取り組みを実施していただくことが、事業のひとつの目的となっています。
日本スポーツ協会がおこなう事業について
それでは、今年度(2025年度)日本スポーツ協会がおこなった事業として4つの取り組みをご報告します。
1つ目が、中央協議会の設置、開催で、1回目は2025年の10月に開催し、2回目は3月に開催する予定です。
2つ目が、登録・認証制度に基づく地域の課題解決・促進に向けた取り組みとして認証制度「部活動の地域展開タイプ」について運用を開始し、新たなタイプとして「障がい者のスポーツ推進タイプ」についても令和8年度の申請を現在受付しています。こちらはリリース動画もあるのでぜひご覧ください。また、3タイプ目として「介護予防タイプ」と呼んでいたものを「健康寿命の延伸タイプ」と名称変更も含め検討している段階です。
「部活動の地域展開タイプ」については、中央協議会から2つの認証クラブに事例発表をいただきますが、こうした場で都道府県の皆さんに認証制度について意識していただき、登録クラブ全体の質的向上を目指しています。実際に認証を受けて、クラブへの取材やスタッフの採用が増えたクラブもあると聞いています。
3つ目として、総合型クラブの広報資料としてリーフレットなどを作成しました。こちらは特に市区町村の行政の方に、もっと総合型クラブのことを知っていただくため、手元に残るように資料の作成や配布を進めています。
4つ目として、総合型クラブや少年団などの地域スポーツクラブの安定的な運営を支援するためのクラブマネジメントセミナーを開催しています。こちらはアーカイブ配信もあるので、各都道府県の方にも配信をご活用いただければと思っています。
都道府県スポーツ協会による事業について
続いて、都道府県スポーツ協会による事業として、スポーツによる地域課題解決に向けた取り組みを2つ紹介します。
1つ目が、地域スポーツ推進団体連絡会議設置・開催です。
2つ目が、スポーツによる地域課題の解決に向けた取り組みの促進について。
今年度は38道府県の方から申請をいただき、例年課題とされる執行率についても令和6年度は83.7%と申請数・執行率共に初年度より上昇傾向にあります。
令和7年度現在の「地域課題」と「取組」です。
【地域課題】
①部活動の地域連携や地域スポーツクラブ活動への展開
②スポーツを通じた介護予防、健康増進
③子どもの体力向上
④障がい者のスポーツ参加
⑤スポーツによる地域活性化
⑥地域スポーツ関係団体
⑦その他、取組が必要な地域課題
【取組】
A)地域スポーツクラブの実践事例の収集
B)広報誌やチラシ等を活用した地域のスポーツ関係者への情報提供
C)地域のスポーツ関係者同士の意見交換
D)地域スポーツクラブの運営者、指導者等を対象とした研修会等の開催
E)地域スポーツ団体と連携したイベントの実施
F)登録審査委員会※における取組(書類審査、実地審査など)
※総合型地域スポーツクラブ登録・認証制度に基づき都道府県に設置される登録審査委員会のこと
G)その他、地域スポーツ推進団体連絡会議において必要とした取組

令和6年度の都道府県スポーツ協会事業の実績を見ると、Dの「地域スポーツクラブの運営者、指導者を対象とした研修会等の開催」やGの「その他、地域スポーツ推進団体連絡会議において必要とした取組」が多く、地域課題では⑥の「その他、取組が必要な地域課題」や⑤の「スポーツによる地域活性化」に多く取り組んでいただいています。各都道府県の取り組みを抜粋して紹介します。
【取組A】地域スポーツクラブの実践事例の収集(北海道、岩手県、兵庫県、滋賀県)
滋賀県では、部活動地域連携・展開等の先進地10ヵ所視察ということで、総合型クラブの基盤、部活動の地域展開に関するところで、先進事例に取り組まれてるところも視察に、この費用をご活用いただいています(地域課題①⑥)。
また、事例収集した内容をセミナーや講習会の内容に反映いただいて、取り組みを推進いただいています。

【取組B】広報誌やチラシ等を活用した地域のスポーツ関係者への情報提供(栃木県、愛媛県)
栃木県では、クラブの啓発を兼ねて登録クラブの特徴や取組をまとめた情報誌を作成し、各市町村の教育委員会に配布されました(地域課題⑥)。
配布を通じて、総合型クラブの存在や役割の理解が進み、認知度向上が見受けられたとのことで、県内でどこにどのクラブがあるのか、行政の方々にご理解いただく有効な取組みだったと感じています。

【取組D】地域スポーツクラブの運営者、指導者等を対象とした研修会等の開催(岡山県、広島県、香川県)
岡山県では、アクティブチャイルドプログラム(ACP)を活用され、親子体験、指導者研修会を兼ねた事業を実施いただきました(地域課題③)。
ACPの体験で運動遊びの重要性を子どもたちに感じてもらうとともに、指導者の研修も兼ねたことで、指導者においても充実した内容になったことをご報告いただいています。

香川県では、パリオリンピックに出場した選手の保護者や指導者を迎えて、子どもの頃からの家族のアプローチや支援、指導の経緯についてパネルディスカッションを実施されました(地域課題③⑤)。
子どもたちがスポーツに取り組むきっかけとなり、保護者や指導者が、今後どういったサポートをしていくかについて考えるきっかけとなる素晴らしいフォーラムとなったと成果報告いただいています。

【E】地域スポーツ団体と連携したイベントの実施(群馬県、三重県、京都府、兵庫県)
群馬県では、群馬県のパラスポーツ協会、群馬県ボッチャ協会、群馬マジック車椅子バスケットボールクラブと協力して、ボッチャや車椅子バスケを体験できる研修会を実施されました(地域課題①②③④⑤特に④)。
インクルージョン社会を目指した活動普及事業として、こうした研修会を通じて障がいスポーツの普及啓発活動を推進されました。特に他団体(パラスポーツ協会や障がい者スポーツに関連する団体)との共業ということで、この事業を活用して幅広く県内の事業を展開されています。

兵庫県では、プロスポーツチームと連携して中学校へ指導者を派遣、生徒に対する実技指導を実施。終了後には、指導者として派遣された方々と地域の指導者教員による意見交換会も実施し、指導方法や工夫点などについて情報共有する機会を設けたそうです。
(地域課題①)。
プロスポーツ選手による指導は中学生にとっても特別な体験になったと思いますし、地域スポーツの指導者とコラボレーションすることで、新たな発見があったのではないかと思います。また、地域全体のさらなる指導力向上においてもいい起爆剤になったと思います。この事業には、児童生徒や教員、指導者や地域指導者の方々など大変多くの方が関わり、取り組みも広域的におこなわれたと報告を受けています。

【G】その他地域スポーツ推進団体連絡会議において必要とした取組(岐阜県、徳島県、埼玉県、神奈川県)
岐阜県では、トップアスリートとの連携でACPを活用いただき、運動遊びを小学生に対して実施されました(地域課題③⑤)。
また、県教育委員会の協力を得て、依頼のあった小学校(県内全域)で体育の出張授業として取組を実施されています。

埼玉県では、総合型クラブへの支援をメインとした取組として、埼玉弁護士会の協力のもと、登録クラブを対象とした法律相談事業を実施。クラブ運営に関する法的課題や不安について専門的な助言を受けられる機会を提供されました(地域課題⑥)。
このように専門的なアドバイスが受けられる機会はとても貴重で、我々もリスクマネジメントセミナーなどを実施しています。こうした取組がさらに各県の方々に促進していくと、よりクラブの質が向上していくと考えます。

神奈川県では、登録クラブに対する支援・サポートとして、登録申請システムの使い方や操作方法に関する支援を5回、巡回を19回実施し、登録手続きに関する不安や課題の解消に努められました(地域課題⑤⑥)。
新規の登録クラブに対してもフォローアップしたところ、7クラブまで増加させることができたそうです。登録に対してボトルネックとなる手続きの部分に関して、この事業を活用してフォローをいただいてるとご報告いただいています。

最後に「都道府県スポーツ協会事業の目的」について改めてお伝えさせていただきますが、その目的は、地域スポーツ活動の活性化に向けた地域スポーツ環境の基盤強化、それが国庫補助事業の大命題です。

そのために、地域スポーツクラブ活動の支援をするとともに、総合型クラブをはじめとした地域スポーツクラブと行政等が連携・共同して地域課題を解決していく。こうしたスキームや体制を皆様のお力で構築して、取組を促進させていただきたいと思います。
地域スポーツクラブとして総合型クラブやスポーツ少年団の連携を強化し、各道府県の皆様に取組を促進いただけるように、JSPOでも会議体を設置するなどさまざまな検討を進めています。
「スポーツ×街づくり」など、資料にある「地域スポーツに関するトピックス/キーワード例」などもヒントにしていただき各都道府県の地域課題解決のための取組につなげていただければと思います。
この国庫補助事業(地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業)を有効活用していただくためにも、本日の会議が皆様の有意義な情報交換の場となれば幸いです。

【中央協議会からの事例発表】2026年度から認証クラブになった「一般社団法人可児UNICスポーツクラブ」と「一般社団法人Escorde野田スポーツクラブ」の事例発表

令和3年度からスタートした国庫補助事業(地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業)は、実際に地域スポーツクラブ(総合型クラブや少年団など)においてどのように活用されているのか。ここでは、2025年度より運用を開始した認証制度の部活動の地域展開タイプにおいて認証クラブとなった「一般社団法人可児UNICスポーツクラブ」と「一般社団法人Escorde野田スポーツクラブ」に事例を発表していただきました。ファシリテーターとして、地域スポーツ推進中央協議会委員長の二宮雅也氏に進行役を務めていただきました。

(二宮委員長)
地域スポーツ推進協議会で委員長を務めております二宮です。約10年間、この登録認証制度の設計に関わってきて、ようやく「部活動の地域展開タイプ」が動き出し、次に「障がい者スポーツ推進タイプ」が動き出そうとしているということで少しほっとしているところです。
ただし、この制度は作ることが目的ではなく、作った後にこの制度を活用してもらって、地域の皆様に総合型地域スポーツクラブの認知を高めていく。そして、クラブが町にあるとさまざまな地域社会の課題解決に役立つことを共感して共有してもらうことが大切です。
ここでは、登録制度に認証された「可児UNICスポーツクラブ」と「Escorde野田スポーツクラブ」の取組について発表していただきます。
それではまず、可児UNICスポーツクラブの佐藤様からお願いいたします。

地域クラブ活動の受け皿は当クラブしかない! 子どもたちが3年間のびのびと成長できる、それが私たちの使命。 (一般社団法人可児UNICスポーツクラブ )

(佐藤さん)
可児UNICスポーツクラブは会員約2000人の総合型地域スポーツクラブです。定期講座約50講座、スポーツ少年団25単位団が所属するクラブとして活動しています。
可児市には公立学校が5校あり、昨年度から当クラブが地域クラブ活動を受託することになりました。先月12月現在で表のように市内生徒約52%、1407名が土日の地域クラブに登録し活動しています。地域クラブ活動の指導者の数は204名、2年目の今年度からサポーターという名称で保護者を中心に405名が登録しています。
事例発表の内容は次の4つです。
(1)当クラブの紹介
(2)地域クラブ活動の現状と取組
(3)現在の課題
(4)今後の展望と見通し
(1)当クラブの紹介
当クラブがある岐阜県可児市は、日本の中央部に位置する岐阜県の中で、愛知県に接する南部にあります。面積的には小さな町ですが、明智光秀誕生の地であり、人間国宝の荒川豊蔵、美濃桃山陶の聖地として知られる、自然と歴史に育まれ多様な文化が響き合う町です。名古屋市の中心まで1時間程度で通えることから名古屋のベッドタウンとして発展してきました。人口は約10万人で人口の約1割が外国にルーツを持つという特徴もあります。
次に当クラブの沿革を紹介します。
可児市では中学校区に1つの総合型スポーツクラブを立ち上げる計画で最初に平成17年「かたびらUNIC」、翌年18年に「中部UNIC」、19年に「東可児UNIC」、1年空いて21年に「蘇南UNIC」が立ち上がりました。
兼山には可児市に合併する前の平成12年から「蘭丸の里スポーツクラブ」があり、平成24年から可児市の中で活動することになりました。平成29年からスケールメリットを生かすという意味で4つの拠点から現在ある坂戸に統合し「可児UNICスポーツクラブ」と改名しました。
さらに平成29年11月から現在の錬成館に事務局が移りました。令和4年度に法人化を取得し、昨年度から中学生の土日の部活動を受託しました。
(2)地域クラブ活動の現状と取組
地域クラブの移行に向けて特に留意したことは次の3つです。
生徒にこれまでと同じような環境でやりたい活動に参加できること
生徒に安全・安心に活動できる場所、指導者体制を確保すること
保護者に経済的・時間的にできるだけ負担がかけかけないようにすること
次に地域クラブに関わる組織体制について紹介します。
中学生に関わる関係者、団体、組織がそれぞれの立場で役割を持って推進し、保護者は地域クラブごとに保護者会を運営、活動支援、指導者の推薦をしています。中学校は平日の学校部活動の指導、地域クラブ活動がスムーズに運営できるように保護者と指導者との連携をおこなっています。地域指導者は地域クラブ活動の指導、学校、保護者との連携をしています。体育連盟各種目協会は指導者派遣、指導者講習会、種目協会との連携をしています。
アーラ文化団体は指導者派遣、指導者講習会を担当しています。当クラブについてはこの後紹介をします。可児市教育委員会は、学校施設利用、整備、備品、兼職兼業などの対応をしています。
可児市は、公共施設管理、管理制度推進、その中でも文化スポーツ課が総括事務局として制度設計・提案・調整・連携・相談窓口、部活動の改革推進のイニシアティブを取っています。
これらの関係団体をつなぐのが「可児市地域クラブ活動推進会議準備会」です。先月の12月までに23回開催され、当クラブは地域クラブ活動の受け皿として第17回から準備会に参加しています。
当クラブの役割として、各種事務手続きをおこなっています。
名簿の管理(学校→文化スポーツ課→UNIC)
生徒の会費:1,000円/年(保険料はUNIC負担)
指導者の会費:無料(保険料はUNIC負担)
ケガ等の補償手続きの窓口を担当する
各種事務手続き名簿の管理、具体的にはまず中学校は希望する生徒の参加名簿を作成し文化スポーツ課に送ります。文化スポーツ課は1つの学校でチームが組めない場合、関係学校と相談し、合同クラブか拠点クラブかを調整し、当クラブに送ります。最終的に当クラブが生徒と指導者の名簿をまとめて管理しています。
活動に関わる怪我、物品の破損等の手続きについては、当クラブが該当者から状況を聞き取り、保険会社に申請しています。
次に体制、整備についてです。
当クラブの事務作業として最も時間を割くのが指導者への謝金支払い業務です。指導者一人ひとりの活動実績、出勤簿と連絡表を回収するその転記・支払いをおこなっています。回収は月始めに当クラブが各学校に回収に行くことを2年間続けてきました。特に文化スポーツ課と当クラブは耐えず連携を取り合っています。
地域クラブ活動の受け皿は当クラブでしかなく、我々が担うことで3年間のびのびと子供たちが成長できる。そういった使命感を持って取り組んでいます。
次に指導者への謝金についてです。
当クラブの指導者には2つの区分があります。1つは休日の地域クラブ活動における実技指導を中心に活動する指導者、中には兼職兼業の許可を受けて指導する顧問、学校職員と、もう1つはサポーターです。サポーターは今年度から指導者の補助的支援をする保護者のことを言います。
指導者への謝金は資料の通りです。

現在の課題は謝金に関わって600名をこす指導者、サポーターに、勤務実績、しかも回数や時間上限のある中で記入しなければならないという指導者側にも大きな負担がかかっていることが分かってきました。そこで文化スポーツ課がDX課によるアプリを作成し、来年度から進めていく予定です。
次に指導者の確保についてです。
年々指導者の高齢化と合わせ、持続可能な指導者の確保が大きな課題となってくることが目に見えています。現在、県の指導者バンクに登録している指導者への依頼や市の公募によって採用することを計画しています。
また当クラブは元々スポーツ少年団も所属している関係で、子どもたちが中学生に上がってもその保護者が地域クラブの指導者に移行していくので、スポーツ少年団の延長として進めていくことはできないかということを模索している段階です。指導者の質の向上については今回部活動の地域展開タイプ認証と評価基準の中で当クラブが1番課題となったところでもあります。
研修会に参加したことによって指導力や倫理的な資質を高め、指導者として子どもたちの成長を願うための多角的な視点での学びを身につけてもらいたいと願っています。
今後の当クラブの展望と見通しです。
まず地域クラブ活動としてこの2年間の蓄積と新たなDX化を活用した業務の効率化を図り、持続可能で生徒が進んで活動できる内容を考えています。平日の部活動が地域クラブ活動に展開されても当クラブと文化スポーツ課だけの取り組みではなく、在学3年間は中学校の職員も推進会議のメンバーも全ての市民が連携することが大切であると考えています。
また地域クラブ活動は当クラブの活動の一部であり、今後さらに子供たちの体力つくりや運動経験つくりにつなげていくことも手掛けていく予定です。なお、総合型地域スポーツクラブとしての方向は障がい者関係団体、担当課とも連携を取り、障がい者にも容易に参加できる内容や、さらに他文化共生の講座を関係団体、担当課と連携し、外国にルーツを持つ人たちにも入りやすい他文化共生の講座も見据えて考えています。
当クラブでは、やってみる、見直す、修正する、トライ&エラーで多くの方の声を少しでも反映させ、中学生はもとより市民や地域の皆さんのコミュニティの核となるよう努めたいと考えています。
認証申請に関わる詳細資料については可児市文化スポーツ課が作成しています(2次元コードを掲載)。ご清聴ありがとうございました。

二宮委員長

ありがとうございました。さすが認証クラブだなという非常に示唆に富んだ発表だったと思います。私から2つ質問させていただきますが、まず可児市が貴クラブに頼って地域連携を進めていく中で、どのように関係性が生まれていったのかというエピソードがあればお聞かせください。

佐藤さん

私たちは行政との繋がりが強いクラブです。それは先ほど沿革でもお話ししましたけれど、このUNICが立ち上がったのが平成17年で、その前はもうすでに文科省から各市町村に1つは総合型地域スポーツクラブを立ち上げるということで、可児市はすでに平成13年から取り組みを始めて17年から帷子地区に「かたびらUNIC」を立ち上げ、その後可児市の4つの地区に4つのUNICが作られました。UNICによって活動できる種目が違っていて、他の地区のUNICに登録するとまた費用も必要になったり、人が少ない講座は市としてまとめれば活動できるなど、スケールメリットが生み出せると1つに統合しました。
そんな経緯もあり、行政との繋がりが強く、今回の地域クラブの移行については、市内で民間で受け入れられるところはもうUNICしかないだろうと受託させていただいています。

二宮委員長

2つ目は、文化スポーツ課、何気なく出てきたんですけど、ほとんどの自治体がなかなか教育委員会の縛りから脱却できなくて、町全体を巻き込んでいけないという課題があるなか、その市長部局である文化スポーツ課をうまく巻き込んでいけたところ、もし何かヒントや方向性を探る解説があれば教えていただきたいなと思います。

佐藤さん

普通は部活動ですから本来は教育委員会が受けるところだと思いますが、教育委員会も学校のことで大変なことがありますので、それで行政で考えて、生涯スポーツという視点で文化スポーツ課が担当になったのだろうと思います。準備会に関しては先ほど組織の紹介もしましたが、学校教育課や総務課、研究所など半分近くはそういったメンバーが入って進めています。

二宮委員長

ありがとうございます。
それでは次に「Escorde野田スポーツクラブ」の朝比奈様、お願いします。

当たり外れのくじ引きのような環境を終わらせたい! 認証制度の申請はクラブ運営を成り立たせる上で1つの指標になる。 (一般社団法人Escorde野田SC)

(朝比奈さん)
大阪府堺市の「エスコーデ野田スポーツクラブ」の朝比奈です。私は中学校の教員で、本来は今日も学校ですが校長先生から「ぜひ行ってきてください」と言われて来ています。
当クラブは、部活動の地域展開を中心におこなっています。私も部活動(サッカー部)の顧問を15年間やっていますが、学校の部活動というのは先生次第なところもあって、熱心な先生だと盛り上がるし、そうじゃないと衰退してしまう…こうした当たり外れのくじ引きのような環境を終わらせたいと思いクラブを立ち上げました。
その背景として、令和4年度に本校で教員向けのアンケートをしたところ、「部活をやりたくない」という先生が80%を超えていて、「部活動をやりたい」という先生は30人中2人。そのうちの1人が私なんです(笑)。

これを堺市全域で見たとき、堺市の教育委員会が出してるホームページでは「顧問をしても良い」という先生は50%いますが、これを兼業兼職の手続きをして“地域クラブ活動”で「指導しても良い」という人が32%です。

右側のグラフは、「部活動指導において重視していることは?」というアンケート項目(複数回答可)ですが、スポーツの楽しさや魅力、競技力向上、こういったところを重きに置いている先生は20%以下。つまり、専門的にしっかり指導できる先生は、堺市では2割を下回る状況なんです。
堺市は政令指定都市ですが、少子化で「廃部」や「合同チーム」化が進んでいます。私が務める学校は堺市の東区で、この地域には7つ中学校がありますが、サッカー部が来年1つ廃部予定で、もう7校中2校しか残りません。

政令指定都市の堺市で、もうサッカーを維持できない。そうした状況のなか、子どもにも格差が生まれているという背景から、我々が堺市東区・美原区の受け皿になろうと考えて総合型スポーツクラブ「エスコーデ野田スポーツクラブ」を設立しました。
クラブの信念として、ミッションは「やってみたいが広がる街へ!スポーツが身近に日常が、人を育て合い、地域をつなげていく!」。ビジョンは「スポーツが教育・福祉・地域づくりの中心となり、誰もが育ち、挑戦し、支え合える街のしくみが根付く未来」。街づくりまで広げて考えて“スポーツで街をつなげていきたい”という想いで活動しています。

さらにバリューには、部活動を地域展開してもやはり教育的意義を大切にして指導していこうと教育的要素を入れています。
value
7つの『共』がつなぐ、育ちと挑戦の物語

①共挑 小さな一歩も大きな夢も、すべての挑戦を共に大切にする
②共生 性別・年齢・経験・背景を問わず、誰もが共に自分らしく関われる環境を育てる
③共育 互いの育ち合い、支え合う関係、文化を共に育てる
④共結 スポーツが、学校と地域をつなぎ、子どもを共に育てる
⑤共創 多様な地域の力と連携し、人と街の未来を共に創る
⑥共場 共に集える場を創り、スポーツを日常に根付かせる
⑦共深 勝負の中にある感情・戦略・絆・軌跡を味わい、スポーツの奥深さを共に深める

いろいろな種目を抱えているため、それぞれの種目が勝手にやらないように、「指導のコンセプト」も定めています。
①学校教育とリンク(連携)した指導体制
②情熱のある教員×地域指導者の協力体制
③指導力の向上 ~有資格者と学び続ける姿勢~
④バランスの取れた活動体制 ~適切な活動時間や休養日~
⑤誰でも安心して通えるクラブ ~格差を生まない~
⑥地域に根付き、応援されるクラブ

エスコーデ(Escorde)という名前は、スペイン語を用いた「学校教育とスポーツを結び合わせて子どもたちを育てていこう」という意味を込めた造語になります。

クラブの組織について、私はもともと理事をしていましたが今は抜けて、地域の方々だけで組織が構成されています。私が外注を受けて運営していく、地域の財産というイメージのクラブです。
中学生の『部活動地域展開』として活動するスポーツは、サッカー(60名)、陸上競技(42名)、卓球(22名)、軟式野球(18名)、硬式テニス(無料体験会)と今年度は5種目おこないました。

クラブ入会者は中学生だけで142名。初心者の子はもちろん、生活保護の子、片親の子、発達障がいの子、支援学級所属の子もいます。多様な子どもたちが実際にここでスポーツをしています。
当クラブでは小学生のスポーツ教室として、走り方教室、ダンス教室、ソフトテニス教室、卓球教室をおこなっています。

うちのクラブの地域にはボール遊びをしていい公園がないため、子ども会が衰退。スポーツできる環境がなく、実際に身体力テストの成績も毎年堺市は全国平均を下回ります。スポーツを普及するためにもこうした活動をしています。
あと高齢者の活動としてグランドゴルフ(健康維持増進)や、専門的な活動として堺市GKスクール(GK専門スクール)、陸上競技スクール(小学生競技コース)、他にも指導者派遣やスポーツイベント、出張教室(企業・地域団体と連携)、地域行事ボランティア活動・スポーツブース出店、セミナー活動、SDGsの活動として世界(タイ)の子どもたちに使わなくなったスポーツ用品を寄付する活動もスタートしています。

指導者についても本当に多様で、私もそうですが教員の方々や専門学校の先生、保護者の方、タレントさんなどさまざまな経歴の方にご協力いただいています。

当クラブは基本的にJSPOの公認のライセンス資格を必ず取得するようにしています。なかにはパラ五輪の卓球の指導者をされている方や、障がいを持つ子どもにも対応できる支援学級所属の先生もいるので、障がいの有無を問わず安心して活動することができます。

ICT(情報通信技術)を活用した指導もしています。

拠点は私が務める野田中学校です。学校開放事業として地域の方々の応援・理解もあり優先的に使わせていただいています。

サッカー、野球、陸上、卓球、どの競技もみんな頑張ってやってくれています。

私自身が中学校の教員ということもあり、学校との繋がりも非常に強いです。今回、中学校の部活動規約を大きく変えました。主な変更点として、土日の部活や朝練はなし、平日の活動は3日だけ、もっとやりたい子はエスコーデのスポーツクラブでおこなう、このことを職員会議で提案したところ、誰からも反対意見は出ず、むしろありがとうという感じでした。このように学校と当クラブとの連携を強化しています。
スポーツ庁が示す「部活動地域展開における新しい価値の創出」ということで、いろいろな取り組みを始めて、良かったなと思うところもたくさんあります。
好きなスポーツができる子どもや保護者の方にも喜んでいただけていますし、スタッフはうちからお支払いする謝礼金で家族旅行に行けると喜んでいました。積極的にみんなに喜んでもらえる活動にしていきたい思っています。
「子どもが通う中学校が4月に突然サッカー部がなくなってしまって…でもエスコーデがあるから楽しくサッカーできて、新しい友達もできてすごく喜んでいます」と、保護者の方からこんな嬉しい言葉もいただいています。
また、クラブに関わるすべての方々が安心・安全に取り組める環境つくりを目指して、スポーツ安全保険にも加入しています。

当クラブがどんな活動をしているのか、数年前にテレビで取り上げていただきました。ネット動画にも上がっていてたくさんの方々に観ていただけています。

運営の資金面においては、「会費・参加料収入」「スポーツ助成金」「スポンサー収入」などを活用しながら運営しています。行政からお金は1円ももらっていません。経済的に豊かでない家庭の子どもたちも好きなスポーツに取り組めるように会費も比較的安価に設定しています。

ただ正直なところtotoの助成金に頼っているところが大きくて、これは5年が限度なのでこれを超えたときにしっかり維持していけるかというのが今後の課題となっています。
スポンサーとして地元の企業などにも応援していただいていて、スポーツを通じていろんな方々との繋がり、ご縁に感謝しながら活動しています。応援してくれている方々のためにも責任をもって活動していこうと子どもたちにも伝えています。

今では地域の方々に知られるようになりましたが、クラブを設立して走り出したときは、市の教育委員会から応援されていない雰囲気を感じました。それが少しずつ変わってきて、そのきっかけがJSPOの登録・認証制度です。「部活動の地域展開タイプ」に認証いただけたことで、当クラブは日本スポーツ協会から認められた総合型地域スポーツクラブですと言えるようになったことがかなり大きかったですね。

また、登録申請をするにあたっては私たちにとってもいろんなことの整理にもなりました。

この認定を持って教育委員会に行き、当クラブを教育委員会の公認にしていただきたいと認定交渉にしたところ、まだできないとの回答でした。そのため、令和8年度は我々は認証クラブですが公的支援はいただけない可能性が高いという状況にあります。
ですが、まだまだクラブの会員が増える見込みもありますし、今後は種目も増やしてやっていきます。さらには中体連に変わる新しい大会なども企画していますし、地元の不動産管理会社さんと共同で新しい活動なども作り出そうとしているところです。

さらには堺市の各区に1つ、こういうような総合型地域スポーツクラブを立ち上げる準備をしています。もちろん、全てのクラブでJSPOの登録認証クラブを目指し、堺市でしっかりスポーツを通じて繋がっていきたいと思っています。
最終的には公益法人なども立ち上げながら、さらに企業を巻き込んで堺市の力を集結するようなクラブに発展できればと理想を描いているところです。最後駆け足になりましたが以上になります。

二宮委員長

非常に熱意が伝わってくるプレゼンテーション、ありがとうございました。部活動の地域展開の中で教員の関わり方というのが1つポイントになっていて、特に兼職兼業といったルールについては、オーバーワークしてしまうリスクが懸念されますが、そのあたりをどのように上手くルールに適合させていったのか教えてください。

朝比奈さん

本クラブには教員もたくさん関わっています。この兼職兼業届けを申請する際には本業の時間外労働とクラブの労働時間の合算が60~80時間を超えないようにするなど制約書を書いて提出します。当クラブでは3時間が基本的な活動時間と決めていて、クラブの指導コンセプトとして、1日2部練習にしたり、1日スポーツ指導に従事したりすることは無しにしているので、多くても80時間を超えないようにしています。もちろんガイドラインも遵守しています。

二宮委員長

なるほど。ということは全国に向けて先生たちもこういう風に関わることができる事例を示すことができているということですね。

朝比奈さん

部活動指導をやりたくて教員になった先生もある一定数いるので、その先生のやりがいを絶対になくしてはいけないと思うので、ご自身が置かれている立場や県境で、それぞれ選択していただければいいかなと思ってます。

二宮委員長

なるほど、ありがとうございます。次に2つのクラブに共通する話題としてお聞きします。やはり部活動の地域展開の中で欠かせないのが外部の指導者だと思いますが、こうした指導者をどのように確保してマネージメントされているのか、お話いただければと思います。では可児UNICスポーツクラブの佐藤さんからお願いします。

佐藤さん

ユニックでは地域クラブを立ち上げる前からすでに外部指導者として、各学校の校長が認める外部指導者として活動してきました。ただ外部指導者がいないところもあったので、まずはどの部活動も保護者会、育成会を立ち上げて、そこに指導者がないところについては体育連盟に、私たちの準備会のメンバーですから、そちらに「指導者がいないので協会のほうから出してくれないか」とお願いして、軟式テニスや吹奏楽もそのようなかたちで進めています。
先ほどの事例発表にもありましたが、指導者の方に謝金を出していますけれども、見合う謝金ではないという方もあるため指導者の確保は本当に難しいと感じています。

二宮委員長

具体的なマネジメントの方法として、謝金の管理運営も含めていかがですか?

佐藤さん

管理になるか分かりませんが、謝金を支払うことになりますから出金簿をつけています。また、外部の指導者が入ってくるということはそこにはほぼ顧問がいません。そこで、平日は学校の部活動をやってますから、二次元コードを使った連絡表を用いて学校側と外部指導者が連携できるようにしています。

二宮委員長

具体的に教えていただけますか?

佐藤さん

こちらの画面を見てください。まず1番上の左の枠に顧問が印鑑を押します。そして土日になると部長が指導者へ持ってきて、その時に活動は何をしたか、学校では何をしたか、それから地域クラブでは何をしたか、活動場所や、熱中症などの問題もあるのでその時の気温なども細かく書くようになっています。この資料は補助金をいただくために必須とされていますが、これには本当に時間がかかって指導者もこれを書くなら指導者を降りるという方も出ることを懸念しています。そこで来年度からDX化してアプリの使用を検討しているところです。

二宮委員長

ありがとうございます。朝比奈さんはどうですか?外部指導者等の選出、それから検索も含めて。

朝比奈さん

当クラブの指導者の方にはほとんど人と人との繋がりで来ていただいています。こういった会もそうですが、大阪には大阪府スポーツ協会のネットワークもありますし、さらに堺市のネットワークもあります。それ以外にも私であればサッカー専門ですから、堺市サッカー連盟の会など、私に限らず他のスタッフも積極的に人との繋がりやご縁を大切にしながら指導者の方に来ていただいています。
あとはライセンスですよね。JSPO公認のライセンスを必ず取得してもらう。持っていなかったら必ず取得していただくということで指導者を招いています。

二宮委員長

指導者への支払いを含めたマネジメントなど事務的な作業においてご苦労とかはありますか?

朝比奈さん

当クラブは週に何回来ていただくか活動について決めていて、支払業務は私以外にもクラブマネージャー(元々は保護者の方)が担当していますが、ほとんど決まった金額をお支払いしているのでそれほど大変なことはありません。

二宮委員長

そうですか。ありがとうございます。最後に、今回認証制度のお話ということで認証制度の活用について聞いてみたいと思います。認証を取得されたことは1つの目標であったと思いますが、その認証を今後どのように地域の中で活用されていこうとお考えですか?

佐藤さん

ユニックはと言うか私の個人的な考えとなりますが、認証を受けたからどうなるということは考えていません。最終的には子どもたちのために活動できる環境を作りたいということ。ただし、認証を受けることで社会的にも認められるので、信頼などは担保できるので目的はそこだと思います。
申請するまでも大変ですし、これからもっと大変だと思いますが、やはり未来の子どもたちが豊かになっていくことを思っています。また、この後、認証のプレートがいただけるそうなので、市長のところへそれを持って行って、理事長にご報告をして今後もよろしくお願いしますとお伝えしようと考えています。

二宮委員長

市長室に行って、首長とうちの町にはこういうクラブがある、と言い合えるのは私的にはすごいことだなと思います。先ほどの朝比奈さんのお話からすると、羨ましいと感じられたのではないでしょうか?

朝比奈さん

可児(ユニック)さんが市長に持って行かれるということでしたので、私も頑張ります(笑)。この部活動地域展開は、私自身にとってもすごく未知なる世界で、今回の認証制度の申請にあたっては、本当にいろんなことを整理する機会となり、totoの助成金もそうですが、クラブを運営する上でこれは最低限やらなくてはいけないという、そういった1つの指標になったと思います。私もそうでしたが、駆け出しで立ち上げるクラブが全国に多分たくさんあると思いますが、そのときに1つの指標になると思います。
それからもう1つ、令和4年に一度教育委員会に我々は今からこういう活動を地域と一緒にやりますと事前にプレゼンしに行ったところ、実績がないところ公的な予算はつけられないと言われました。
これは当然の話なんですが、ただしこれが2年、3年と運営していく中で、これは一体何を持って実績なのかが途中で分からなくなってきてしまって。そうしたなかで今回地域展開タイプに認証していただいたことは、これはもう間違いなく1つの実績だと思っています。

二宮委員長

ありがとうございます。おそらく制度設計に関わったJSPOの職員、それから私も含めてですがこの制度を作ったことによってそのクラブの価値が地域の中でさらに上がっていく、増していく、特に朝比奈さんのところのクラブみたいに、ちょっと行政と距離があるところが、認証取得によってその距離が近づいてくる、というところに大きな期待を寄せています。
また、民間組織にも注目していただいて、スポンサー制度も含めさらに豊かになっていく。それが地域の中におけるクラブの大きな価値じゃないかなと思います。これらの制度がさらに進展して、両クラブの発展につながり、認証とクラブの実績がですね、連動して社会に伝わることを願っております。本日どうもありがとうございました。

【都道府県スポーツ協会からの事例発表】「公益財団法人 福井県スポーツ協会」と「公益財団法人 熊本県スポーツ協会」の事例発表

(二宮委員長)
この国庫補助、かなり貴重な予算であると個人的には思っております。これをどのように活用してどんなことができるのかということについて、福井県と熊本県2つの県から事例を発表していただきます。まずは福井県の新良貴(しらき)さん、お願いします。
総合型クラブとスポーツ少年団の連携について
公益財団法人 福井県スポーツ協会

新良貴さん

福井県スポーツ協会の県民スポーツ推進課 主事の新良貴(しらき)です。

基盤強化事業の事例発表ということで、福井県からは「総合型クラブとスポーツ少年団の連携について」事例を発表します。
福井県は人口が73万1589名(令和7年の11月時点)、縦長に伸びている県で17の市町で構成されています。県内における総合型クラブの設置数は27クラブ。そのうち25クラブがJSPOに登録しています。スポーツ少年団は令和7年の9月末の登録時点で345団体となります。

福井県では、令和3年度、基盤強化事業が始まったときから委託を受託させていただき、今年度で5年目に入ります。当初から当クラブでは生涯スポーツの振興という観点から本事業を活用させていただき、地域スポーツの環境整備を図っていくことを目的にスタートしています。
過去の取り組みとして令和3年から5年までの取組を紹介します。

市長行政を交えた意見交換会
最初の頃は、市町行政を交えた意見交換会を実施しました。こちらは市町の生涯スポーツ担当部署の方を中心にお声かけをして、各市町の状況、スポーツクラブの取り組みなど情報交換しました。
マーケティングリサーチの活用・スポーツツーリズム
こちらは総合型クラブを対象に、今後クラブ活動や運営面に関して考えていく上で、マーケティングリサーチやスポーツツーリズムなどを意識して考えていこうということで取り上げてみました。
部活動地域移行の情報共有
令和4年くらいから、部活動の地域移行に関しての話が本格的となってきたときに、本件についてお話をする機会があまりなかったため、管轄外ではありますがこの事業を活用して県内の行政関係者や総合型クラブ関係者、少年団関係者の方にお声かけして、福井県内の状況について情報を共有しいく機会を持つようになりました。
スポーツ安全保険の研修会
それにらの取組に付随して、スポーツ安全保険について学ぶことが重要であるとして、研修会を設けました。
現代の子供のスポーツ事情
令和6年には、地域スポーツ環境の充実を図っていくためには、こちらからの押し付けではなく、今時の傾向を知ることが大事と考え、実際に現場でスポーツするお子さんや保護者の方に話をお聞きしました。
他団体や他事業で触れることがあまりないようなことを取り上げて、この事業を活用してさまざまな機会を作ってきましたが、こうした取組をまとめて説明しても趣旨がうまく伝わらず、「スポ協さん何がしたいのか分からない」とか「今日は何の集まりだ?」といった声が本当に多くございました。
こちらとしてはせっかく考えたのに、と思いながらやっていましたが、あるときスポーツ協会の立場を改めてきちんと決めましょうということで、次の目的を定めました。
福井県スポーツ協会がこの基盤強化事業をどうしたいのか?
目的は、県民がそれぞれの目的に合わせてスポーツに親しむことができる環境整備を推進し、 生涯スポーツの振興を図っていくということ。
そのための方針として、地域スポーツ環境整備の中心である各市町行政関係部署や地域スポーツクラブを対象に各種支援活動をすることにしました。この方針の部分はあくまで担当者の意見であり、スポーツ協会内で思っているだけで決定ではありませんが、まずは方針を決めることが大事であると考えてあえて言葉にしています。
主な内容は大きく2つあります。

①地域スポーツクラブの母体強化の支援
取組例

●総合型クラブと少年団の連携について検討
●登録制度によるガバナンスの確立
●組織運営に関する学びの場の確保
②市町行政の理解促進、協働・協力の働きかけ
取組例

●総合型クラブと少年団の必要性の説明
●スポーツに関する行政目標との紐づけ
●スポーツ事業のクラブ委託などの検討
②の取組については、すでに各市町の中でも、スポーツに関する計画などがあるので、そういったものと紐付けて、地域・地元の団体をうまく活用してくださいと我々から呼びかけています。
地域スポーツクラブ推進体制基盤強化事業
令和6年・7年度
「総合型クラブとスポーツ少年団の連携について」
こうした方針やこれまでの取組を踏まえ、令和6年、7年度は連続して同じテーマで、「総合型クラブと少年団の連携について」の発表となります。

私たちがなぜこのテーマなのか?と考えてみると、福井県は地方ですし、少子高齢化が顕著に現われている地域で、総合型や少年団がそれぞれ単体で動くことにもう限界が来ていて、何かしらを始めていかなければならない状況にある。こうした理由から福井県がこのテーマになったと考えました。
続いて、「クラブ・少年団の相互理解の促進」ということで、私も今回スポーツ協会のクラブ担当でして、同じく少年団担当の方ともお話することがあります。その際に、事務局担当者同士がお互いの組織のことをあまり理解していないことがあり、現場のクラブや単位団の方たちはもっと知らないのでは?ということになり、お互いを知る良い機会・歩み寄りのきっかけづくりにする、ということが理由になっています。

次に「情報共有・発信」ですが、まず先ほどの資料のような情報が、クラブや単位団の方まで行き渡っていないっていうのが1つありました。もしくは知っていても、ちょっと勘違いをされている方がいて「具体的に何をしたらいいんですか?」「一緒じゃないと今後活動してはダメなんですか?」という問い合わせが実際にありました。
こうした誤解を解く意味でも、方針について正しく理解してもらう場が必要で、こうした場を作るのはスポーツ協会の役割ということで、こうした事情からテーマを設定しました。
令和6年度の取組「福井県地域スポーツミーティング」
令和6年度の取組として「福井県地域スポーツミーティング」という名前をつけ、研修会など情報交換の場を持ちました。

総合型クラブと少年団、お互いの連携を考える前に、まずはそれぞれがどんな団体なのかを知ろうということで、総合型クラブの会長と、少年団の本部長、両団体の長にあたる方に説明をしていただきました。その際、連携についても前向きな姿勢であることをアピールしていただきました。
続いて、実際に少年団と連携のある総合型クラブ、2クラブに事例発表をしていただきました。この際のポイントとしては、実際の運営方法や、連携に至った背景なども含めてお話いただいきました。
その後、参加者同士で意見交換の時間を取らせていただきました。この際のポイントは班分けで、必ず行政の関係者、クラブ関係者、少年団関係者が混在する班をつくっておこない、連携できそうなこと・してみたいことなど前向きな意見を聞くことができました。
第1回 令和6年度の地域スポーツミーティングをおこなった際のアンケート結果を見ると、全体の傾向として、クラブ関係者も行政関係者も前向きな意見がありました。「具体的な例があって良かったです」「いろんな人と話せる機会が持てて良かった」とか、もしくはその方針について、連携そのものを知らなかったので「今回知れて良かった」という意見が多く見られました。
反対にネガティブな意見もあり、例えば「行政区分ごとのグループにして欲しかった」「参加者名簿として連絡先・役職が分かる資料が欲しかった」など、かなり具体的な意見をいただいていますが、行政関係者の方は特に現場の人がいると、本音で言いにくい部分もあると思います。