【PR】時事通信社の記者が選ぶ「スポーツで世界が動いた瞬間」3選。創立75年で培った"価値ある事実"を見抜く目

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時事通信社は日本を代表する通信社のひとつです。皆さんの中にも、ニュースや新聞などを見ているときに、「時事通信社」という出典表記を見かけたことがある人は多くいることでしょう。

そもそも通信社というのは、全国の新聞社や放送局、ネットメディアに対して、自社で取材した写真や記事などを素材として提供する会社のこと。提供先の新聞社や放送局はそれを各社の編集方針に沿って取捨選択し、ニュースとして世に出すのです。

そのため、時事通信社のポリシーは"中立公正"。幅広いメディアに素材を提供できるよう、社としての偏りが見えないように注意を払い、政治、経済、社会、国際、スポーツなどの"価値ある事実"の取材を国内外で幅広く展開しています。

今回は時事通信社で、常務取締役として同社の今後を見据える東実森夫(とうじつ もりお)さんと、記者として長きにわたって"価値ある事実"を目の当たりにしてきた朝賀英裕(あさか ひでひろ)さんにインタビュー。お二人に印象的だったスポーツのシーンや、プロとしてそれを報道する意義についてお話をうかがいます。

どうすれば読者に喜んでもらえるか。新たなチャレンジをしている段階

時事通信社は1945年の創立75年の歴史を持つ、日本有数の通信社です。そんな同社の使命は「情報の土台を提供すること」だと、東実さんは言います。まずは今後の展望について、東実さんにお話しいただきました。

時事通信社 常務取締役 東実森夫
東実:通信社にはさまざまな役割がありますが、ひとつ大切な要素があります。それは素材提供先のメディアが独自性を出すための土台、つまり情報のインフラを整えるということ。

われわれ時事通信社は、通信社としての事業もさることながら、セミナーの開催や調査事業、出版事業などもおこなっており、その活動はバリエーションに富んでいます。ことスポーツシーンにおいては、戦後まもなくから現在にいたるまで、数十年にわたって記者やカメラマンを派遣し、取材を重ねてきました。

その中で蓄積された知識は、現在「スポーツ情報データベース」としてシステム化し随時アップデート。選手情報やオリンピック代表の選考基準、競技場に関する情報から草の根レベルの情報までを、さまざまな形式で必要に応じて提供できる仕組みを作っています。

また、昨今のインターネット関連技術の急速な発展で、スポーツ報道のあり方は変化しつつあるといえるでしょう。スポーツ情報データベースも含め、そうした変わりつつあるスポーツ報道の在り方を模索しながら、何をどのように表現すれば読者に喜んでもらえるか、さまざまなチャレンジをしている段階です。

時事通信社のライターが語る。印象に残ったスポーツニュース3選

政治・経済や芸能と並び、国民の大きな関心が向くスポーツニュース。朝賀さんは、記者として長年スポーツシーンを間近で見てきました。その取材経験の中で強く印象に残った出来事を3つ、朝賀さんにお聞きします。

時事通信社 編集局総務 朝賀英裕

①アテネオリンピック体操男子団体金メダル獲得

朝賀:まずはなんと言っても2004年の「アテネオリンピック体操男子団体金メダル獲得」。この現場に立ち会ったとき、その背景も含めて多くの人たちに知ってほしい、いや伝えるべき事実だと感じました。

当時の体操男子団体は、1976年モントリオールオリンピックを最後に金メダルを獲得できていなかったうえ、直前の2大会ではメダルにすら届かなかった。若い世代が台頭してきていたとはいえ、体操の低迷期だったので、金メダルを取れるようなシナリオを描いていない関係者も多かったのが正直なところです。

そんな中で手にした金メダル獲得には、今振り返るとちゃんとした道筋があったように思います。大会前、私が選手やOB、関係者へ取材する過程でもひしひしと感じていましたが、体操界一丸でおこなってきた努力や想いがようやく結実した瞬間でしたね。

当日の取材が終わって競技場からの帰路、たまたまバスで隣り合わせたドイツ人記者に今回の結果に至る背景などを話したところ、「素晴らしいストーリーだったね」と言われたことが今も耳に残っています。"心震える瞬間"というのは、時間も国境も超えた普遍的なものなんだとあらためて感じました。

②ベン・ジョンソンの金メダル・世界記録剥奪

朝賀:メダルといえば、華々しいニュースではないものの、1988年ソウルオリンピック陸上男子100mでの「ベン・ジョンソンの金メダル・世界記録剥奪」も非常に印象的でした。理由はステロイド剤使用によるドーピング違反。

ベン・ジョンソンといえば、今でいうウサイン・ボルトのような存在です。当時の彼はまさに全盛期。前年の世界陸上でも世界記録(後に抹消)を樹立していました。そんな彼がオリンピックという全世界が注目する舞台でまさかの失格。衝撃的でないはずはありません。思えばこの事件をきっかけにアンチ・ドーピングの動きは加速していったような気がします。

ただ、ここにはスポーツ界が抱える構造的な問題が横たわっていると個人的には考えています。

たとえばドーピングをしてはいけない理由は、健康への影響面を除けば、究極的には"ズルいから"のひとことに尽きるでしょう。でも、そこには選手の経済状況による格差は含まれていません。金銭的に余裕のある選手は、有名なコーチの指導のもとで海外トレーニングを重ね、かたや金銭的に余裕のない選手はそんなことができるはずもない。同じ土俵で戦うのに、選手間のこうした格差がまかり通ってしまう状況には違和感を感じずにはいられませんでした。

同様の事例として、長距離走などで広く取り入れられている高地トレーニングという手法がありますが、これは血液中に酸素を行き渡らせるヘモグロビンという物質をより多くするためにおこなうもの。 高地トレーニングは認められているが、薬によってヘモグロビンを多くする行為は禁じられている。結果として同じ身体を作り上げることでも、一方は合法、一方は違法ということがあるのが事実です。

だからといってオリンピックのメダルは、スポーツ界の根底を支え発展させる原動力としてどうしても必要なもの。ベン・ジョンソンの金メダル剥奪から三十年以上が過ぎた今でも、スポーツにおける勝利至上主義が生み出したこうした構造的な問題は解決されていないと思っています。

③JSPOの「国体改革2003」

朝賀:最後は、国体(国民体育大会)の諸問題に対する見直しや改善を図るために策定されたJSPOの「国体改革2003」です。

私は、国体の役割は日本全国であの規模の大会をおこなうことで、スポーツ振興の基盤をつくることにあると考えています。しかし、現状に鑑みるとそれとは裏腹に国体自体の注目度は高くなく、財政面の負担だけが大きくのしかかってきています。

JSPOが今も取り組む国体改革は、スポーツの素晴らしさを伝える国体というシステムの魅力を取り戻しつつ、こうした財政面に代表される問題点・矛盾点を整理する作業です。当時、ちょうどJOC(日本オリンピック委員会)や体協(日本体育協会:現在のJSPO)を担当していた私は、関係者の努力や苦労をこの目で見てきました。だからこそ、JSPOが自分たちの理念と上記の問題点についてどのように折り合いをつけ、国体を改革していくのか、1メディアとして非常に注目しています。

"国体をネットで配信する"。話を聞いたときはすごくワクワクしましたね

JSPOとのスポンサー実現にあたって

時事通信社とJSPOは、"スポーツ"を架け橋として長年信頼関係を築き上げてきました。そこにはお互いの「素晴らしいものを世に広めたい!」という、共通の想いがあります。

東実:2011年、スポーツ基本法によって「スポーツを通じた豊かで健康的な生活を営むことは、国民の権利である」と定められました。ですが、JSPOは日本体育協会だったころからこの理念を掲げて活動を続けてきました。特にその中でも国体は最重要施策ですが、先ほどお話しした通りその魅力はだんだんと伝わりづらくなってきています。

そんな中、スポンサーとしてだけでなく、国体のネット配信である「国体チャンネル」のお手伝いもさせていただきました。正直、この話を聞いたときはすごくワクワクしましたね。スポーツの素晴らしさを細部まで鮮明に表現できる「映像」であれば、国体ひいてはスポーツの魅力を正当に評価してもらえるかもしれない。そう思ったからです。

また、体協時代からのお付き合いでいうと「JSPOニュース(当時は体協ニュース)」発行のお手伝いもしています。JSPOニュースはほぼ毎月発行される壁新聞で、全国の小・中・特別支援学校など約3万3千か所に配布しています。草の根的な活動ですが、子どもたちが毎月楽しみに待ってくれていると考えると、非常に意義深い取組だと感じています。

このようにスポンサーとしてだけでなく、JSPOとは長いお付き合いの中でたびたび気持ちを同じくして何かに取り組む機会が多いです。

新たな報道のあり方を模索して。JSPOとともに歩んでいきたい

東実:通信社としては、何か一つの事象に対して自分たちで付加価値を創造していくのではなく、"価値ある事実"をいかに判断し世に広めるかが使命だと思っています。

特にスポーツでいえば、その感動や熱量を伝えることで社会が動き、大きな反響となって価値を生み出すことにつながっていきます。こうした意味では、スポーツそのものに報道する価値があるともいえるでしょう。

また、初めにお話したとおり、時事通信社がこれまでに培ってきた経験、知識、人材といったすべての資源を基盤に、ネット技術を応用して報道のあり方の進化をリードしていくことも重要な役割です。

JSPOの国体に関する取組には、スポーツのさまざまな未来を形にしていく可能性が秘められていると思っています。「国体チャンネル」だけでなく、今後もJSPOとともに新たな報道のあり方にチャレンジしていけたら光栄です。