一般社団法人SDGs in SportsとJSPOが包括連携協定を締結。多様性を尊重し、誰もがスポーツを楽しめる環境づくりをめざして

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一般社団法人SDGs in SportsとJSPOが包括連携協定を締結。多様性を尊重し、誰もがスポーツを楽しめる環境づくりをめざして
JSPOは、スポーツを通じたSDGsの取り組みをさらに進めていくため、令和5(2023)年3月20日(月)に、一般社団法人SDGs in Sports(代表理事 井本直歩子 氏)と包括連携協定を締結しました。
締結式では、JSPO森岡専務理事とSDGs in Sports井本代表理事が、スポーツや社会におけるジェンダー平等や、気候変動などによるスポーツを取り巻く環境変化などの社会課題について、それぞれの想いを語りました。

SDGs in Sportsさんと一緒に、スポーツを通じた社会課題の解決に向けた歩みをより一層加速させていきたい(JSPO森岡専務理事)

森岡
森岡

今回、一般社団法人SDGs in Sportsさんと包括連携協定を締結できるということで 私たちJSPOとしてもとても嬉しく思っています。

JSPOはこれまで創立者である嘉納治五郎初代会長の「精力善用」「自他共栄」のDNA を112年もの長きにわたり受け継いできたところです。

また、創立100周年を迎えた平成23(2011)年には、日本オリンピック委員会(JOC)とともに「スポーツ宣言日本」を起草し、多くのスポーツ関係者とともにこの宣言を採択しました。

この宣言は、新たな百年に向けて、嘉納治五郎初代会長の志を受け継ぎ現代化したものです。
私たちは、この宣言に則り、スポーツの力を主体的かつ健全に活用<精力善用>し、人類社会が直面するグローバルな課題の解決に貢献<自他共栄>できるよう取り組んできました。

さらに、令和5(2023)年3月に策定した「JSPO中期計画2023-2027」において掲げた「ミッション・ビジョン・バリュー」を踏まえ、新しい時代にふさわしいスポーツの使命を達成するためにもSDGs in Sportsさんと締結することにより、スポーツを通じた社会課題の解決に向けた歩みをより一層加速させていきたいと考えております 。

「スポーツ宣言日本」についてはコチラ
「JSPO中期計画2023-2027」についてはコチラ
井本

JSPOさんのような壮大なネットワークを持つ、スポーツ界のトップランナーの皆様とご一緒できることを、とても光栄に思っております。

私どもの団体SDGs in Sportsは、アスリートたちが自分たちで社会課題について正しい知識を有し、スポーツ界や社会を引っ張っていけるようなリーダーシップを育成しなければならないという使命感のもと、2021年に団体として設立しました。

数々の社会課題があるなか、これまでもスポーツ界のたくさんの課題に取り組まれてきたJSPOさんとともに、私たちがどのような付加価値を与えられるのか考えたとき、SDGsのゴールの中でも特に「ジェンダー平等」や「気候変動」といった、まだスポーツ界の取り組みが立ち遅れている社会課題に取り組んでいきたいと考えました。

関わる方、団体がまだまだ少ないこの分野において、私たちの知見、そして外部有識者の方々の知見をたくさん取り入れながら、お互いに有意義な議論を重ねて着実に成果を導けるように、貢献していきたいと思います。

井本
森岡
森岡

「JSPO中期計画2023-2027」では、4つの柱として、1番目に、私たちの中では「地域スポーツの最適化」と呼んでいる運動部活動の地域連携、2番目に「多様性の尊重」、3番目に「スポーツ・インティグリティの強化」、4番目に「次世代につなぐ新たな仕組みの実現」といった取り組みを掲げています。
井本さんがおっしゃった「ジェンダー平等」については、2番目の「多様性の尊重」の中で掲げています。

リーダーシップ育成のお話もありましたが、リーダーシップやフォロワーシップについても、次世代のリーダーを育てる仕組みを、私たちもつくっていかなければならないと考えています。
今後、私たちの掲げた「多様性の尊重」の取り組みにおいて、SDGs in Sportsさんと積極的にコラボレーションできればと思っております。

井本

スポーツ界の「ジェンダー平等」の中でも特にガバナンスについては、女性理事の割合が急速に増えている競技団体もありますが、全体的にはまだ道半ばです。日本政府は、上場企業の重要意思決定機関に占める女性割合の目標値を30%に設定していますが、2019年に策定されたスポーツ庁ガバナンスコードでは、女性理事割合の達成目標として40%が掲げられています。

これは素晴らしいことだと思いますが、一方で一部からはそれに対して40%という率が高すぎるのではという声も聞こえています。いずれにしても、数の議論に終始しているなと感じています。

SDGs in Sportsは現在、スポーツ界の女性リーダー育成研修を始めました。数の議論だけではなく、トップ層で活躍できる人材を育成するためにスポーツ界にいる女性がガバナンスを学べる機会を提供しています。

それだけでなく、まずはトップの意思決定層の方々に、なぜジェンダー平等がガバナンスに必要かについて理解を深めていただけるよう、研修などをおこなっていきたいと考えています。スポーツ団体のトップ層に多様性の意識や視点が欠けていると、複雑な問題を抱える現代社会では盲点が大きくなり、さまざまな社会課題に対して対応が不十分になってしまいます。

多様性が乏しい団体がいかにリスクを抱えることになるのかということに、私たちは気づかなければなりません。一緒に議論しながら、進めたいですし、またこうした議論は、中央だけでなく地方のスポーツ団体にも特に必要だと感じています。

井本

ジェンダーギャップ指数が日本は156ヵ国中120位。社会における女性のリーダーをスポーツの現場から出せるように(SDGs in Sports井本代表理事)

森岡
森岡

JSPOは61の中央競技団体と47の都道府県体育・スポーツ協会、7つの関係スポーツ団体が加盟し、さらに9つの準加盟及び承認団体があります。先ほど井本さんがおっしゃられた地域の団体、JSPOでいう都道府県の体育・スポーツ協会においても、女性の理事の方はまだまだ少数です。

国際比較で見ても日本の意識は低く、内閣府が発表した「ジェンダーギャップ指数」において日本は156ヵ国中120位と、東アジアで一番低いことに私も驚いています。国内におけるジェンダー平等に関する意識は、国際的にかなり遅れをとっていることを痛感しています。

井本

世界のジェンダーギャップ指数は、「経済」「教育」「健康」「政治」の4つの分野で男女格差を数値化したものですが、日本のジェンダーギャップ指数が低いのは、政治と経済の分野です。いま国会議員(衆議院)における女性の比率は10%以下です。

これを同じようにスポーツ界で指標を作って測った場合、どれくらいの結果になるでしょう。スポーツ団体の理事の女性割合を見ると、日本オリンピック委員会(JOC)が40%に達成しました。JSPOさんは28.6%と伺っています。数値だけを見ると近年かなり増加していますが、目標の40%にはまだ道半ばの団体がたくさんあります。

リーダー層に女性が少ない理由はいくつもあり、しっかりと対策を練っていかなければ解決できません。いまでは団体の代表を務める私でさえ、もともとはリーダーになりたいとは思っていませんでした。今後さまざまな社会課題を解決していくために、トップ層に多様な人材がいるガバナンスの体制を、地方も含めて整えていく必要があると感じています。

スポーツ少年団など幼少期のスポーツに関わっているJSPOさんだからこそ、幼少期からスポーツを通した女性人材育成が可能だと思います。社会における女性リーダーをスポーツの現場から輩出できるようにしていきたい。JSPOさんはそのポテンシャルがすごく高いと思っています。

井本
森岡
森岡

これまでの経緯や積み重ねもあるかと思いますので、一朝一夕にはいかないと思いますが、バックキャストの考え方でまず5年後、10年後の目標を定め、最終的には社会における女性リーダーがスポーツの現場から自然と出るような環境とすることを念頭に、現時点でのギャップを埋めていくための施策を打たなくてはなりません。

幸いJSPOには「総合型地域スポーツクラブ」や「スポーツ少年団」というタッチポイント(スポーツ指導者やプレーヤーとの接点)があり、全国約22万人の公認スポーツ指導者もおります。まずはそうした活動の場に、意識の「芽」を植えていくことから始めていこうと思います。

「多様性の尊重」などの取り組みには、SDGs in Sportsさんの専門性に学ぶべきところが多いと思います。今回この包括連携協定の締結を機に、ぜひそういったところでお力を貸していただければと思っています。逆に、私たちには井本さんがおっしゃっていただいた日本最大級のネットワークがありますので、情報発信や周知・啓発など十分に活用していただければと思います。

気候変動や少子化の影響によってスポーツの在り方が変わりつつあるなか、誰もが楽しめる環境を整備していきたい

井本

気候変動がスポーツに与える問題も深刻です。すでに温暖化の影響により、夏や冬におこなっていた競技の開催時期をずらしたり、開催地を変更したりしています。「外の気温が高すぎる」とか、「冬なのに雪がない」といった状況がすでに起こっています。

エネルギーコストも上がっており、室内でもスポーツができる環境を整えるためにお金がかかり過ぎて、誰でも楽しめるはずのスポーツがお金のある人しか楽しめないものになってしまうかもしれません。

井本
森岡
森岡

確かに気候変動は私たちにさまざまな問題を突き付けています。日本の社会問題としては他にも、少子化が深刻であり、このままさらに人口減少が進み、自分の身近な地域でチームすら組めないということになれば、誰もがスポーツできる権利が脅かされるようになってしまう。こうした環境や社会の変化に、私たちも安穏とはしていられないという危機感を抱いています。

こうした問題に対する取り組みの一歩として、「JSPO中期計画2023-2027」に掲げた「地域スポーツの最適化」「多様性の尊重」「スポーツ・インティグリティの強化」「次世代につなぐ新たな仕組みの実現」という各重点項目において横串もさしながら議論を重ね、社会課題の解決に向けた取り組みを積極的に進めていくこととしています。

井本

さまざまな社会課題を解決するために、スポーツにはものすごく「求心力」があることは確かです。スポーツをする人も、みる人も、ささえる人も、多くの人がスポーツに高い関心を寄せています。

スポーツ界に強い影響力を持つJSPOさんとともに、誰もが楽しめるスポーツ環境を整えていきたいと思います。

井本
森岡
森岡

私たちも誰もがスポーツを楽しめる環境を整えたいと考えています。今後の連携した取り組みを、ぜひよろしくお願いいたします。

==JSPOにおけるスポーツを通じた社会貢献==

~嘉納治五郎初代会長の志を継承したスポーツを通じた社会課題の解決~

日本スポーツ協会(JSPO)は、日本オリンピック委員会(JOC)とともに創立100周年を迎えた平成23(2011)年に、「スポーツ宣言日本」を起草し、多くのスポーツ関係者とともにこの宣言を採択しました。

この宣言は、新たな百年に向けて、嘉納治五郎初代会長の志を受け継ぎ現代化したものです。
私たちは、この宣言に則り、スポーツの力を主体的かつ健全に活用<精力善用>し、人類社会が直面するグローバルな課題の解決に貢献<自他共栄>できるよう取り組んでいます。
※スポーツ宣言日本の全文はコチラ

~JSPOの取り組み~

JSPOは、スポーツ宣言日本を踏まえ、コーポレート・メッセージ「スポーツと、望む未来へ。」のもと、スポーツがあらゆる人々に一切の差別、格差なく享受され、誰もが望む社会の実現に貢献していくことを目指しています。
当協会の事業は多岐にわたっており、その多くが社会課題の解決を目指してスタートしています。現在もその時々の課題に合わせながら、加盟団体をはじめ、国や地方公共団体、各種スポーツ関係団体等との協力・連携を密にして各種事業を推進しています。
そして、社会貢献に根差したそれぞれの事業を通じて、直接的・間接的にSDGsの達成に幅広く貢献し、持続可能な社会の実現を目指しています。
JSPOでは、「スポーツ宣言日本」および「SDGs」をはじめ、スポーツを通じた社会貢献に関する取り組みをスポーツ界に広げることを目的に、特集WEBページを開設しています。
特集WEBページでは、JSPOや加盟団体の取り組み事例を紹介しています。
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