「日本フェアプレイ大賞」の受賞者たちが「フェアプレー」について語り合いました。
「フェアプレイ大賞」受賞作品&受賞者
受賞作品は年度ごとにご覧いただけます。
・受賞者の方々の学年は、受賞当時のものです。
・受賞のコメントは記事の最後に掲載しています。
2022年度
麻生真愛(あそう まな)さん 東京都立大泉高等学校附属中学校 2年
★中野 初音(なかの はつね)さん 羽曳野市立高鷲北小学校 6年
★石田 心結(いしだ みゆ)さん 久喜市立久喜東中学校 2年
2021年度
葛󠄀西 海碧(かさい かいせい)さん 札幌市立前田中学校 3年
大塚 達也(おおつか たつや)さん 社会人
★丸山 倖歩(まるやま ゆきほ)さん 三郷市立瑞木小学校 6年
前野 夢月(まえの むつき)さん 南さつま市立内山田小学校 3年
2020年度
★萩尾 萊成(はぎお らいせい)さん 四国中央市立関川小学校 6年
★高遠 愉仁(たかとお ゆひと)さん 信濃町立信濃小中学校 3年
皆さんのフェアプレイエピソードに心が震えた。文章も素晴らしいし、何より「気づき」が素晴らしい。
作文のタイトルにもなっている伊藤先生は、僕が中学2年生のときに転任して来てサッカー部の顧問になった先生です。その伊藤先生がミーティングのときに対戦するチームのことを「相手チーム」と言ったんです。それまで僕たちは「敵チーム」と言っていたので、最初に聞いたときは少し違和感がありました。また、伊藤先生は「用具を大切にするように」といつも言っていたので、自然と気づかされました。
その先生との出会いも素晴らしいけれど、高遠さんがその違和感から気づけたというところがすごいと思いますね。
続いて、萩尾萊成さんに伺います。通常スポーツの中でフェアプレーに気づく人が多いですが、日常の「太鼓祭り」という地域の文化の中から気づくというのはすごいなと思いました。
例えば、相手のことを認めてリスペクトするとか、これをフェアプレーの基本とするというのをどこで学び、どうやって気づきましたか?
教えてくれたのは先生です。気づけたのは自分がその太鼓祭りが好きで、太鼓祭りのことを考えたときに思い浮かびました。作文を書く上で、先生が「こうしたらいいんじゃない」という感じでアドバイスしてくれました。
やっぱり良き指導者との出会いなんですよね。それでも太鼓の中からこれを見つける萩尾さんのなんか着眼点がすごいなと思いました。太鼓を愛している感じが文章からにじみ出ていますし、スポーツも含めた文化を愛することで身に付く力というのが萩尾さんにはあったんでしょうね。
自分ではあまりわからないのですけれど…。まあ、あったんでしょうね(笑)。
いやいや、本当に素晴らしい文章です。
では続いて、丸山倖歩さんに伺います。作品(心温まる行為)での出来事で、ここにフェアプレーがあると気づいたのはどこですか?
テレビで剣道の試合を見ていたときに、勝った人があまり喜んでいなくて、「なんでだろう?」と思いました。その理由について父から教えてもらったときに、「これがフェアプレーなんだな」と思いました。
お父様が教えてくださったんですね。それを日常生活の中で気づける丸山さんがすごい。本当に日常の中にもフェアプレーはいっぱい潜んでいますね。
続いて、石田心結さんに伺います。作品(試合での友情)に出てくる相手の選手もすごいですけれど、どこでフェアプレーと気づきましたか?誰かに教えてもらったのですか?
空手という競技はそもそも武道なのでフェアプレーがないと成り立ちません。だから普段の稽古でも相手のことを尊重して、負けても最後まで礼をするとか、相手に失礼のないようにちゃんと自分で気合を出して稽古をするとか、師範や先生方に教わっていたので、型の試合の中でも、「これが師範が言っていたフェアプレーなのかな」と気づくことができました。
やっぱりスポーツの中にフェアプレーの精神が内在しているんですね。
では次に、中野初音さんに伺います。東京オリンピックのスケートボードで互いを称え合うのは、本当に象徴的なシーンでしたが、そのことに気づけたのは誰かに教えてもらったのですか?
私は夏のオリンピック、パラリンピックを見ていましたが、自分のことを考えてみると、自分は競ったり、何かに挑戦するとき、相手のことをライバルだと思ってしまうことがあると思いました。作文にも書きましたが、スケートボードの岡本さんのチャレンジに対して、国を越えて選手たちがリスペクトしていたり、称賛し合ったりしているシーンはとても感動しましたし、お互いを尊重していることがよくわかったシーンとして、すごく印象的でした。
本当にあのシーンというのはスポーツの価値を変えたなというふうに思っています。競争ではなく「共創」していく、共に創っていくという世界の象徴だったと思います。
皆さんの体験や行動が、人の心を揺さぶる。ぜひ大使としてフェアプレーの精神を伝えていただきたい。
次に、皆さんが気づけたフェアプレーの精神を、これからどのように伝えていこうと考えているかお聞きしたいと思います。
まずは、高遠さんからお願いします。
まずは、人に教える前に自分で実践しないといけないと思います。自分がやっていないのに人に教えるのはやはりどうかと思うので。まずは徹底的に、小さなことでもいいので、例えば、相手にやさしくボールを渡すとか、練習相手に対して挨拶をするとか、そういう小さいことでもいいので、自分がしっかりやっている姿を見せながら、まわりに伝えていけたらと思います。
まずは実践、自分の実践からですね。素晴らしいです。
萩尾さんはどのように考えますか?
作文の内容の「太鼓祭り」もコロナの影響でここ2年間中止になっていますが、他でもフェアプレーに気づけるところがあると思うので、そういう気づきについて、家族やまわりの友達に少しずつ伝えていければなと思います。
ありがとうございます。
丸山さん、中野さん、石田さんはいかがですか?
体育の授業とか、日常のスポーツでもたくさんフェアプレーができるところはあると思うので、フェアプレーを意識して行動していこうと思います。そうすることで、まわりの人に伝えていけたらいいなと思います。
何か競ったりするときなど、自分のことばかり考えてしまいがちになるんですけれど、自分のことだけでなく、仲間の気持ちを考えて、発言したり、行動することで、相手を思いやるということにつながっていくと思います。
これから中学生、高校生、社会人に進むにつれてうまく行かないことも多くなっていくと思いますが、フェアで広い心を持ち、一度相手のことを考えられる、公平な判断ができるよう努力していきたいなと思っています。
普段生活する中で、「これがフェアプレー」と思う瞬間はあまり多くないと思うので、改めて、「挨拶」や「ありがとう」という声掛けもフェアプレーのひとつなんだよ、ということが伝わっていくといいと思います。
ありがとうございます。
皆さんの文章を読んでいますと、年々応募作品のグレードが上がっていることを実感します。特にこの3年間はレベルが高く、皆さんの作文を読んで心が震えました。
皆さんが体験したこと、皆さんの行動が、人の心を揺さぶります。皆さんのような方々が1人でも増えることで、日常生活やスポーツのシーンでフェアプレーが浸透する世界をつくっていきたいと思っていますので、これをきっかけに、皆さんにはフェアプレーの大使としてフェアプレーを実践し、まわりの人たちに伝えるような役割を担っていただきたいと思っております。
「フェアプレー」は日常の中で、ある瞬間に突然現れる。重要なキーワードは“気づくチカラ”
受賞コメント
萩尾 萊成 さん 「太鼓祭りとフェアプレイ」
自分が大賞になるなんて思っていなかったし、地元の誇りというか、僕の誇りでもある「太鼓祭り」を全国に伝えられてよかったなと思っています。
高遠 愉仁 さん 「伊藤先生が教えてくれたフェアプレー」
受賞したって聞いた時に、嬉しいのは嬉しかったんですけれど、それよりも受賞したんだという驚きのほうが強かったです。僕は文章を自分で書いたりすることがそんなに得意ではなかったので、全国で表彰されるなんて思っていなかったです。
葛󠄀西 海碧 さん 「光り輝く右手」
まさか自分がと思い、驚いたと同時に嬉しかったです。改めて作品を見返して、改めてフェアプレーの大切さやフェアプレーをすることによって、相手も自分もよい気分になれると感じました。サッカーのプレー中に倒れた選手がいたら手を差し伸べたり、相手のことを想う気持ちをもってこれからもプレーしたいと思います。
大塚 達也 さん 「ライバルの存在」
このたびは日本フェアプレイ大賞2021 審査員特別賞に選んでいただき本当にうれしく光栄に感じています。私は高校生活最後の県総体でライバルが滑り止めを貸してくれなければ惨敗していたでしょう。自らが優位に戦えていたにも関わらずあえてフェアな戦いを挑んでくれたことを思い出すと、今でも胸が熱くなります。あの経験があったことが今日までの私の心の支えとなっています。フェアプレーの精神は決してスポーツのシーンだけで生きるものではありません。身近に困っている人がいればそっと手を差し伸べてつねに相手の立場になって行動する、そんなやさしさをもった人が1人でも増えると、社会全体が大きく変わるきっかけになるのではないでしょうか。長引くコロナ禍、さらには不安定な世界情勢が一日でも早く終息し、幅広い世代が笑ってスポーツを楽しめる日が戻ることを願っております。ありがとうございました。
丸山 倖歩 さん 「心温まる行為」
びっくりしました。まさか自分の作品が選ばれるなんて思ってなかったのでとてもうれしかったです。
前野 夢月 さん 「みなさんのおうえんのおかげだよ」
※前野さんは作品のみのご紹介となります。
麻生 真愛 さん 「他人を思いやる心」
先生から最初に受賞の連絡をいただいたとき、本当に信じられず実感が湧かなかったんですけれど、時間が経つにつれて結構嬉しさが込み上げてきました。もともとフェアプレーについてはあまり意識したことはなく、フェアプレーについてあまり考えることも、実際に行動に移すこともなかったんですけれど、作文を書くにあたってそういうことをいろいろ調べていくうちに、フェアプレーの精神はスポーツだけではなく、普段の生活や勉強にも活かせることにも気づいたので今後はこの機会をもとに、もっとフェアプレーに重きをおいて生活していければなと思います。
中野 初音 さん 「たたえあう世界へ」
審査員特別賞ありがとうございます。私はもともと作文が苦手で、国語も得意ではありませんでした。でも、学校でいろんな文章や作文を書いたりすることが増えたため、自然に楽しくなりました。受賞と聞いた時点では詳しく内容は分からなかったのですが、日本全国の中で数人と聞いて驚きました。受賞できて嬉しかったです。
石田 心結 さん 「試合での友情」
皆さんがおっしゃっていた通り、私もすごいびっくりしましたし、自分の大好きな空手について心を込めた書いた作文なので受賞して本当にうれしいです。光栄です。ありがとうございます。
この3年分、本当に待ってましたというか、こうして皆さんのお顔を見ることができて本当に幸せです。皆さん、文章も素晴らしいですけれど、フェアプレーに対する気づきやしっかりした考え方をもってらっしゃるんですよね。そんな皆さんと、フェアプレーについてトークセッションしたいと思います。
皆さんは、どんなときに、あるいはどうやってフェアプレーに気づけたのでしょうか?
ではまず、高遠愉仁さん、お願いします。