日常にも通じる精神を肌で学ぶ。元トップアスリートらを講師に招いたJSPO「フェアプレイスクール」とは?
今年度は約700人もの子どもたちが"フェアプレー"について考えてくれました!
2019年度は合計10回にわたり実施。7月の東京都での開催を皮切りに、北は秋田県から南は沖縄県まで、日本全国の児童・生徒計約700人に"フェアプレーとは何か"を伝えました!どの学校でも、子どもたちみんなが終始笑顔でプログラムに取り組む姿が印象的でした。
フェアプレーを全国に浸透させるJSPOの取り組みとは
2017年より「フェアプレイ応援団」として協力している、日本を代表するアイドル・AKB48チーム8のメンバーもフェアプレイスクールに駆けつけ、子どもたちと一緒にフェアプレーについて考えてくれました!
・フェアプレイ応援団(AKB48チーム8)フェアプレー応援ムービー上映
・代表児童生徒によるフェアプレーエピソード発表
・講師講評~フェアプレーについての講話
・スポーツ体験授業
講師特別インタビュー!ミスターレッズ・福田正博さん/金メダリスト・谷本歩実さん
ーーフェアプレイスクールに参加してみての感想を聞かせてください。
私は今年度初めて講師としてフェアプレイスクールに参加させていただきました。講師を務めるにあたって、まずフェアプレーというものを、どう子どもたちに伝えるか非常に悩みましたね。自分自身の柔道のキャリアの中で、ずっと向き合ってきたはずなのに(笑)。
だからこそ、このタイミングでフェアプレーというものを考えるとても良いきっかけになったんです。逆に私自身、参加してくれた子どもたちの行動や発言、表情などから、「あ、フェアプレーってこういうことか!」という学びがありました。
ーーみなさんの考える"フェアプレー"とは何でしょうか?
自分に関わるすべての人・ものを大切に思うこと。つまり、「ありがとう」という気持ちを持ち続けることがフェアプレーの原点だと、僕は思っています。みんなの作文でも、「当たり前だと感じていたことが実はそうでなかった」と気付いたことで、成長するきっかけになったというエピソードをよく見かけます。
正直に言うと、僕が現役だったころは強くフェアプレーを意識してピッチに立ってはいませんでした。でも実際のフェアプレイスクールで現在伝えているようなことにそのとき気が付いていれば、もっともっと良い選手になれたはずだと思うんです。
だからこそ、今の子どもたちにはフェアプレー精神の素晴らしさに早く気が付いてほしいし、少しでもその手助けになれたら素敵だなと感じています。
フェアプレーと"勝利への執念"って、よくぶつかるんですよ。フェアプレーには定義がない、ルールもない。たとえば相手の弱点を攻めるのは別に柔道のルール違反ではないけれど、じゃあフェアプレーを考えたときにはその行為はどうなんだろう、と。私の選手時代はこうしたジレンマにすごく苦しみました。
でも結局のところ、それを決めるのは自らの信じた道であり、意志なんですよね。そして、そうした決断の積み重ねがその人の人間性になっていくんです。私が講師を務めたフェアプレイスクールの子どもたちに関して言うと、みんなその判断軸をしっかり持っていたので実はすごく驚きました。
ーーフェアプレイスクールでの学びが、今後子どもたちにどのような影響を与えていくと思いますか?
僕はもう結婚して二十数年ですが、奥さんに何かしてもらったら必ず笑顔でありがとうを言うようにしているんです。なぜなら洗濯や掃除、料理など、やっぱりどれをとってもやってもらって当たり前のことなんて一つもないんですよね。普段のこうした意識が、プレーを向上させたり、自分の中でのフェアプレーそのものにつながっていくんだと思います。
そういう些細なことをフェアプレイスクールで伝えていくことで、いつかフェアプレーという言葉がなくなるくらい僕たちの心に浸透して、"笑顔でありがとう"があふれる世界になっていってほしいですね。
フェアプレイスクールは子どもたちが、スポーツの結果以外の部分に目を向けるきっかけになると思います。たとえば努力する姿勢だったり、相手選手への思いやりだったり。こうしたいろいろなことに価値を見出していく。
それにくわえて、フェアプレーという"ものさし"を知ることで、子どもたちが人生に迷ったとき、物事を判断する軸を手に入れることができます。
フェアプレイスクールがこうした成長のきっかけとなり、子どもたちの心が豊かになっていけばいいなと思います。
ーー応援団として、AKB48チーム8のメンバーも駆けつけてくれました!そのときの子どもたちの様子はどうでしたか?
自分の目線を子どもの高さまで下げるのって本当に難しいんですけど、彼女たちは一緒になって身体を動かし、喜び、悔しがってくれました。
そういう姿を見て子どもたちも真剣になれたと思うし、一緒にやっていて気持ちがいいですよね。全員が同じ熱量を持って取り組めたので、終わったあとはすごく達成感がありました。いうなれば、フェアプレイスクールを一緒に作っていくパートナーのような存在です。
テレビで見る有名人のような、自分からかけ離れた存在って、自分とは違うって勝手に線引きしてしまうんですよね。
そんな人がいま目の前にいて、同じ授業を受けて時間を共有しているって、そこに夢が生まれると思いませんか?「私もあの人みたいになれるかも」って。
そう思って、私はこういう場に参加させてもらうときには金メダルを持っていくんです。人間誰しも、イメージできることには挑戦するモチベーションが湧いてきますからね。こうして子どもたちに夢を与えるのも、トップアスリートの大切な使命です。
今回フェアプレイスクールに参加してくれた子たちも、憧れのアイドルを見て目をキラキラさせていました!
フェアプレイスクールには4年にわたり講師として参加させていただいています!フェアプレーって、意外と当たり前すぎて普段あまり意識しない考え方ですよね。自分自身もそうなんですが、こうした機会であらためてその大切さを再確認できるというのは、なかなかないことだと思います。
参加してくれる子どもたちも、自分がフェアプレー精神を感じた瞬間を作文にしてきてくれるので、双方向性のある非常に有意義な時間になることが多いですね。そこに教える/教わるといった垣根は存在しません。僕も、子どもたちも同じ目線に立ってフェアプレーを考える。それができるのがこのスクールの素晴らしさですね。