2024年、国体から「国スポ」へ。フィギュアスケート坂本花織選手が、未来を担う後輩たちに背中で見せる”世界レベル”。国スポならではの風景とは。
そこで、国スポとして初の大会となる「第78回国民スポーツ大会スケート競技会・アイスホッケー競技会(北海道)」の開催前、2024年1月18日(木)に、JSPO山本浩 常務理事(国民スポーツ大会委員会委員長)から大会概要の記者発表とともに、兵庫県代表としてフィギュアスケート成年女子に出場する坂本花織選手への特別インタビューをおこないました。
兵庫県の代表として成年種別も少年種別も一緒にチーム一丸となって挑む。国スポには他の試合とは違う雰囲気があります。
フィギュアスケートは個人競技なので、他の大会だとやっぱり自分との戦いという感じなのですが、国スポは、少年種別(高校生以下)、成年種別でそれぞれ2人ずつ出場して、しかも都道府県別の対抗戦でもあるので、みんなでチーム一丸となって頑張ろうという気持ちで挑んでいます。
国スポは異なる年代の選手たちが一緒に参加する貴重な機会でもあるので、少年種別の選手たちは成年種別の滑りを間近に見て学べるし、成年種別の選手たちは少年種別の選手たちが近くで見ているから、いつも以上に気持ちが引き締まる。こういった雰囲気は他の試合とは違うと思います。
私の背中を見ときなさい、といった感じでしょうか?兵庫県は過去の成績を見ても強いですしね。
そうですね。国スポならではの楽しみはありますが、やっぱり勝負は勝負として、兵庫県が1つでも上の順位に行けるようにみんなで気持ちを高め合いながら臨みたいと思います。
またシーズン中でもあるので、国スポで試合経験をしっかり積むことによって次の試合に繋がると思います。自分の演技に集中してやるべきことはしっかりやって、自分の演技以外のところは応援に力を注げたらなと思っています。
自分が出場する競技の枠を越え、同じ郷土の選手たちと交流が深まる。その様子はまさに、国内版のオリンピック。
国スポは単一の競技大会と違って県の代表としていろんな種目の選手たちと交流のチャンスが多いですよね。この辺も何か違った魅力みたいなものがありますか?
同じく兵庫県代表として、ショートトラックやスピードスケートの選手たちと一緒になることがあるのですが、別のリンクで頑張っている話を、兵庫県スポーツ協会の方から聞くとフィギュアも頑張らないと、とすごく刺激になります。違う競技との関わりが持てるという意味ではオリンピックみたいな感じで、お互いを刺激し合えているなという雰囲気が国スポにはありますね。
観客席のリアクションなども開催地ごとに多少違いがあると思いますが、北海道ではどんな期待がありますか?
先ほども言ったように、国スポは年代の異なる選手たちが直接交わる唯一の大会になるので、少年種別の選手たちに、“世界チャンピオンはやっぱりすごい”と思ってもらえるように、しっかりと演技で示したいです。
国スポでは地元の小中学生が観に来てくれるときもあるので、フィギュアスケートを生で初めて見て面白いと思ってくれたら、今後のスケート人口が増えるきっかけにもなりますし、そういう部分でもスケート界をどんどん良くしていけるように、自分が少しでも力になれたら、貢献できたらなと思っています。
かつて荒川静香さんに聞いたことがあるのですが、世界の選手と戦うときには、私はこんなことができるというのを堂々とわざと大きくやって見せて相手にプレッシャーをかけるようなことをされていたそうです。国スポは全く違う意味でそういうものが求められるかもしれませんね。
自分の滑りをどの大会よりも間近で感じてもらえると思うので、ぜひ見て、学んでほしいですね。
今シーズン、この後は世界選手権に向かって進んでいかれると思いますが、その途中にある、今回の国スポで納得がいくのは何が越えられたときでしょうか?
兵庫県代表として出られる大会であり、自分が生まれ育った土地、地元の代表として出場するからには、きちんと責任を持ってやり遂げたいです。勝負は “勝ってなんぼ”だと思うので、表彰台に乗れたときが、やっぱり嬉しい気持ちになりますし、次に繋がるなという気持ちにもなります。
坂本選手はこれまで何度も国体に出場されていて、前回の国体も国民がびっくりするくらい素晴らしい演技を披露していただきました。前回の国体を振り返ってみてどんな印象をお持ちですか?
昨年の国体は自分たちが大学4年生だったので、その国体(2023年1月開催の特別国体冬季大会(青森県八戸市))で、フィギュアスケート競技を引退する選手が多くいました。同級生の選手たちがこの試合で競技を引退してしまう、もうこれで一緒に戦えるのが最後なんだという悲しさもありましたが、一方で国体の盛り上がりがあるからこそ、選手たちは華々しく引退することができるという想いもあって、前回の国体は自分のなかですごく特別感がありました。
2024年の年明け以降、どのように過ごされていますか?
昨年末に全日本選手権があって、その次の試合が1月27日から始まるこの国スポだったので、久しぶりにお正月はゆっくり過ごして、1度リフレッシュをしてから練習をスタートさせています。コンディションも良く、上手く調整できたかなと思っています。
その辺は好成績を出されたことがプラスに影響していますか?
そうですね。試合の良いイメージを思い出しながら、あとはメンタル面で普段の練習からストレスを抱え込まないようにしているので、それが安定したコンディションに繋がっていると思います。
忙しいスケジュールですけれども、開催地である苫小牧に行った際、北海道のここを楽しんでみたいというところはありますか?
神戸は雪があまり降らないので、北海道に行ったらぜひ北海道らしい雪の景色、雪の街を楽しめたらと思っています。
氷の上は強いでしょうけれど雪で滑って転ばないように…
はい、気を付けます(笑)
坂本選手のトレードマークであるすごい笑顔を期待しています。
はい。ありがとうございます。
もっとスポーツを盛り上げようという気持ちや意思表示を感じて、より熱くなるような感じがします。
国体から国スポに変わりますが、新しい名称に対する印象と、大会への期待感などについて教えてください。
「国民体育大会」より「国民スポーツ大会」という名前のほうが、より「スポーツ」という言葉の持つ意味や文化にフォーカスしているというか、もっと「スポーツ」を盛り上げようっていう気持ち、意思表示という感じがして、より熱くなりそうだなという感じがしました。
大会が盛り上がるのは間違いないですし、そうした盛り上がりのなかで自分の演技をしっかりできるように、他の選手たちにもいい状況で、いい状態で試合に挑んでもらえるように、みんなで頑張っていけたらなと思っています。
今大会に向けた意気込みや、今年のテーマとして世界選手権をどういう位置づけにしたいかということなどを聞かせていただけたらと思います。
国スポだけでなく、1つひとつの試合が次の試合につながるのは間違いないので、この国スポの成績が3月の世界選手権につながるということを意識して、国スポでやるべきことをしっかりやって、スピンだったりステップだったり細かい部分についても、まだダメなところを確認して、世界選手権に向けた課題を見つけられたらと思っています。
繰り返しになりますが、やるべきことをしっかりやって兵庫県の入賞に少しでも貢献できたらと思っています。
さきほど雪が楽しみだとおっしゃっていましたが、北海道への、これまでの坂本選手の印象というか、思い出深いエピソードなどあれば教えてください。
競技で関連することで言うと、北海道は本当にリンクが寒すぎて(笑)。こんなにも違うのかと。でも、試合になると地元の方々の「ようこそ」という温かい出迎えが、どこよりも温かい、熱いなと感じています。
他の競技会と比べたとき、国スポの雰囲気というのはどんな感じでしょうか?