地元愛がぶつかり合う!?~国体ファンの武井壮氏、山本浩氏が語る国体の魅力とは!?~スポーツの都道府県対抗一大イベント、国民体育大会を楽しもう!

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地元愛がぶつかり合う!?~国体ファンの武井壮氏、山本浩氏が語る国体の魅力とは!?~スポーツの都道府県対抗一大イベント、国民体育大会を楽しもう!
戦後間もなくから開催されている歴史の深い国民スポーツイベントである国民体育大会(以下、国体)。その大会名を一度は耳にしたことがあるはずです。2019年に行われた「第74回国民体育大会(いきいき茨城ゆめ国体)」では、国体パートナースポンサーの企業数が過去最多の計17社にのぼるなど、企業の注目度も高く、大きな盛り上がりをみせました。しかし、実際に国体がどのような大会なのかを知らない人は意外と多いのでは?

そこで今回は、国体を楽しく観戦するために、国体の魅力や見どころ、歴史をたっぷりご紹介します。また第48回国民体育大会(東四国国体)に兵庫県代表としても出場し、今はタレントとして人気を集める武井壮氏や、元NHKアナウンサー・解説委員であり、JSPO(日本スポーツ協会)国体委員を務める山本浩氏に国体の醍醐味・楽しみ方などを聞いてみました!

国民体育大会(国体)ってどんな大会?

国体とは、「広く国民の間にスポーツを普及し、国民の健康増進と体力の向上を図り、地方スポーツの推進と地方文化の発展」を目的として1946(昭和21)年から日本で毎年開催されるスポーツの祭典です。国のスポーツ基本法に定める重要行事の一つとして、 JSPO(日本スポーツ協会) ・文部科学省・開催地都道府県の三者共催で行われています。

▪️参加資格は・・・?
各都道府県で開催される予選会等を経て都道府県の代表となった競技者が出場。
男女の区分に加え、年齢によって「成年種別」と「少年種別」に分けられています。
<成年種別>大会開催年(冬季大会は前年)の4月1日現在、18歳以上の者。(主に大学生以上の年代)
<少年種別>大会開催年(冬季大会は前年)の4月1日現在、15歳以上18歳未満の者。(主に高校生年代)

▪️参加人数は・・・?
国体には、毎年約2万3千人もの選手・監督が参加しますが、これは、同じ総合スポーツ大会であるオリンピックの約2倍にも
のぼります。また、都道府県予選やブロック大会も含めると実に30万人以上が都道府県の頂点を目指して国体に参加しており、国内有数のメガイベントといえます。

▪️実施競技は・・・?
国体には9月中旬~10月中旬に実施する「本大会」と1月~2月に実施する「冬季大会」があります。都道府県対抗の得点対象となる正式競技は、本大会で37競技、冬季大会3競技の、計40競技があります。また、正式競技以外にも

①得点対象にはならないが都道府県代表の参加により中央競技団体主導で開催する「公開競技」
②高等学校野球を指す「特別競技」
③「デモンストレーションスポーツ」

があり、③の「デモンストレーションスポーツ」は、開催地に住んでいる方が参加できる競技です。

正式競技(第74〜77回大会)

▪️本大会
<正式競技(毎年実施競技・36競技)>
陸上競技、水泳、サッカー、テニス、ボート、ホッケー、ボクシング、バレーボール
体操、バスケットボール、レスリング、セーリング、ウエイトリフティング、ハンドボール、自転車
ソフトテニス、卓球、軟式野球、相撲、馬術、フェンシング、柔道、ソフトボール、バドミントン
弓道、ライフル射撃、剣道、ラグビーフットボール、スポーツクライミング、カヌー、アーチェリー
空手道、なぎなた、ボウリング、ゴルフ、トライアスロン

<正式競技(隔年で2競技のうち1競技を実施)>
銃剣道、クレー射撃

▪️冬季大会
スキー、スケート、アイスホッケー

“地元愛”がぶつかり合う!?都道府県対抗のスポーツ大会!

国体は、毎年都道府県対抗方式で行われ、男女総合優勝の証しである「天皇杯」と、女子総合優勝の証しである「皇后杯」獲得を目指し、都道府県代表の選手達が熱戦を繰り広げます。観戦者はさながら高校野球で母校や出身地の学校を応援するように自身の馴染みのある都道府県を応援し、国対抗のオリンピックと同様な楽しみ方ができます。

国体はここから始まった!

戦後の混乱の中、スポーツを通して国民とりわけ青少年に勇気と希望を与えようと、戦災を免れた京都を中心とした京阪神地域で1946(昭和21)年に第1回大会が開催されました。第3回福岡県大会から都道府県対抗方式が確立し、天皇杯と皇后杯が創設。その後、都道府県持ち回り方式が確立し、1987(昭和62)年第42回大会(沖縄)で全国を一巡し、2巡目に入っています。

2006(平成18)年第61回大会(兵庫)から、大会運営の簡素・効率化を図るため、夏季大会と秋季大会が統合され、これまで冬季・夏季・秋季の3季別に分かれていた国体は、本大会(9~10月開催)と冬季大会の2季別で開催されることになりました。 

また、1965(昭和40)年から身体障がいのある人々を対象に行われてきた「全国身体障害者スポーツ大会」と、1992年から知的障がいのある人々を対象に行われてきた「全国知的障害者スポーツ大会」が統合し、 2001年から「全国障害者スポーツ大会」として国民体育大会終了後に、同じ開催地で行われています。

毎年各都道府県が持ち回り!スポーツツーリズムでの地域活性化にも!

国体は「東(北海道・東北・関東)」、「中(北信越・ 東海・近畿)」、「西(中国・四国・九州)」の3地区の輪番制で開催され、毎年、開催地の都道府県が大会を運営する仕組みになっています。開催地はおよそ10年前に内定し、開催都道府県はその10年間の期間を、大会準備に費やします。どの都道府県も大会を盛り上げるために官民連携で開催地が一体となって準備を進めます。毎年、スポーツと共に、その土地ならではの風土や魅力も感じられる“国体”は、スポーツツーリズムの可能性を大いに秘めた大会でもあります。

スポーツを知り尽くした国体ファンに聞いた!国体の魅力とは?

武井 壮(たけい・そう) 氏
<プロフィール>

職業、肩書き、「百獣の王」。住所、「地球」、趣味「成長」。
元・陸上十種競技日本チャンピオンにして、格闘技、野球、ゴルフなど、さまざまなスポーツの経験を持ち、2018年9月にスペイン・マラガでおこなわれた世界マスターズ陸上にて4×100mリレーで金メダルを獲得。

新たにビリヤードやピアノに挑戦したりするなど、「自分史上最高」をめざして、今なお日々成
長を続ける、最強の45歳。

ツイッター・インスタグラムアカウント @sosotakei
山本浩(やまもと・ひろし) 氏
<プロフィール>

法政大学スポーツ健康学部教授 元NHKアナウンサー、解説主幹。サッカーや五輪、アルペンスキーなどでスポーツ実況を経験。09年3月にNHKを退職し、法政大学スポーツ健康学部へ。現在、Jリーグ理事、国体委員、日本卓球協会評議員、日本陸上競技連盟理事/指導者養成委員長。66歳。

Q1. 国体の魅力や楽しみ方を教えてください!

(武井氏)
いろいろな喜びが感じられる!
出身県や、自分の出身校がある県、実際に今住んでいる県など、みなさんそれぞれに思い入れのある地域がいくつかあるかと思います。国体は初めて見る競技でも、そうした県や地域を応援できるので、とても愛着がわきやすいです。なので、お気に入りの選手を見つけやすく、応援している自分の県の選手が勝つとなんとも言えない嬉しさと一体感を感じることができます。そうした競技と地域性が付随した喜びがあるところが国体の一番の良さだと感じます。
(山本氏)
都道府県対抗の総合スポーツ大会だからこそ熱くなる!
国体は、一つひとつの試合で勝敗を競いながら、県全体のスポーツ力をポイントで比べる戦いでもあります。目の前の試合に勝ったかどうかだけでなく、得点をいかに集めて他県をしのいでいくか。団体競技での優勝も、チームの構成人数によってポイントは変わってきます。ポイントの仕組みを知って目の前のレースや戦いを見ると、その奥深さがじわじわと見えてくるはずです。

Q2. 競技者にとって国体とはどのような大会なのでしょうか?

(武井氏)
国体は日本最大のスポーツの祭典!
国体は日本独自のオリンピックみたいなものではないかと思います。オリンピックも様々な種目の選手たちが、各国の代表を背負って戦って、そこに多くの選手や観衆との出会いもあり、感動も生まれる。そんな共通点がありますよね。
加えて日本選手権とは違い、国体は所属の違う選手たちと、チームメイトとして同じものを背負って戦う、そうした舞台に立つ一番最初の機会になる事が多いんです。小さなオリンピックに出れた、そんな喜びを感じられる大会だと思います。
(山本氏)
少年少女がオリンピアンの目の前で真剣勝負に挑める場所!
スポーツに打ち込んで努力と才能を評価された人が、自分の力のいかばかりかを問う日本最高の舞台。
国体に初めて出る中学生や高校生がオリンピアンの目の前で真剣勝負に挑むのを可能にしています。競技スポーツに未来を託す人なら、子どもの頃から誰しも目指す大きな目標です。

Q3. 国体は、毎年各都道府県が持ち回りで実施していますが、観戦以外での楽しみはありますか?

(武井氏)
スポーツを通して地場の魅力を堪能できる!
開催県に滞在している間、様々な競技を観戦しながら、その土地の文化やグルメを堪能できる。スポーツを通してその年の開催県を存分に楽しめるところはとてもエンターテイメント性があると思います。一つの国のなかで行われる「インバウンド」のような感覚ですね。
「明日はこの競技を見たいから、この町に泊まろう」といった各地に宿泊し、観光もできる楽しみがあるのは国体ならではの魅力ですね!
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