アスリートにとって睡眠は大事!西多先生に、「プレーヤーの心と体を守る睡眠のキホン」を学びました。
ささえる

「寝る子は育つ」という言葉があるように、睡眠を十分にとることは子どもの発育に良いことはもちろん、スポーツのパフォーマンスにも影響する要素として、睡眠が重要視されています。睡眠不足は、パフォーマンスの低下や、集中力・注意力の低下を招いて、ケガの要因にもなりかねません。
そこで、スポーツ指導の現場においても、ぜひ知っておいていただきたい知識として、精神医学、睡眠医学、スポーツ科学を専門にされる、早稲田大学スポーツ科学学術院 教授および精神科医、JSPO公認スポーツドクターである西多昌規(ニシダ マサキ)先生に、「プレーヤーの心と体を守る睡眠のキホン」というテーマで、スポーツにおける睡眠の知識やその必要性を伺いました。
(本記事は、2024年11月23日におこなわれた「令和6年度公認スポーツ指導者全国研修会」での西多先生の講演内容を再構成したものです)
そこで、スポーツ指導の現場においても、ぜひ知っておいていただきたい知識として、精神医学、睡眠医学、スポーツ科学を専門にされる、早稲田大学スポーツ科学学術院 教授および精神科医、JSPO公認スポーツドクターである西多昌規(ニシダ マサキ)先生に、「プレーヤーの心と体を守る睡眠のキホン」というテーマで、スポーツにおける睡眠の知識やその必要性を伺いました。
(本記事は、2024年11月23日におこなわれた「令和6年度公認スポーツ指導者全国研修会」での西多先生の講演内容を再構成したものです)
<講演の内容>
・睡眠はなぜ重要なのか?睡眠をとらないと、どうなるのか?
・睡眠を軽視して生じるトレーニング・パフォーマンスへの影響
・睡眠を見直すことで得られる有益な効果
・アスリートへの睡眠サポート(指導の現場に還元する)
※記事中のエビデンスは今後の進歩によって補強や修正、否定される可能性があります。
・睡眠はなぜ重要なのか?睡眠をとらないと、どうなるのか?
・睡眠を軽視して生じるトレーニング・パフォーマンスへの影響
・睡眠を見直すことで得られる有益な効果
・アスリートへの睡眠サポート(指導の現場に還元する)
※記事中のエビデンスは今後の進歩によって補強や修正、否定される可能性があります。
西多昌規(ニシダ マサキ)先生
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授
精神科医/JSPO公認スポーツドクター
早稲田大学スポーツ科学学術院 教授
精神科医/JSPO公認スポーツドクター
●専門領域は精神医学、睡眠医学、スポーツ科学
●睡眠とスポーツの関連性の解明や、アスリートの睡眠障害などの問題解決に取り組む。
●東京医科歯科大学医学部を卒業後、国立精神・神経医療研究センター病院勤務、ハーバード大学医学部研究員、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て、2023年から現職。
●早稲田大学睡眠研究所長、保健センター所長のほか、日本アンチ・ドーピング機構審査員や、日本スポーツ精神医学会理事長などを務める。
●睡眠とスポーツの関連性の解明や、アスリートの睡眠障害などの問題解決に取り組む。
●東京医科歯科大学医学部を卒業後、国立精神・神経医療研究センター病院勤務、ハーバード大学医学部研究員、スタンフォード大学医学部客員講師などを経て、2023年から現職。
●早稲田大学睡眠研究所長、保健センター所長のほか、日本アンチ・ドーピング機構審査員や、日本スポーツ精神医学会理事長などを務める。
睡眠はなぜ重要なのか?睡眠をとらないと、どうなるのか?
そもそも睡眠はなぜ重要なのでしょうか?そして、睡眠をとらないと、どうなってしまうのでしょうか?そのことがわかる断眠実験が報告されています。
断眠実験の最高記録はなんと264時間
その昔、アメリカのテレビ番組で“人はどれだけ寝ずにいられるか?”という断眠実験がおこなわれ、最高記録は、当時17歳の男子高校生が打ち立てた264時間、約11日間というものでした。
その症状として、2日目に眠気や倦怠感に襲われ、4日目には自分が有名プロスポーツ選手だという誇大妄想が起こり、6日目に幻覚を見るように。そして9日目には視力低下や被害妄想、11日目には極度の記憶障害を起こしましたが、断眠実験後、15時間ほど爆睡したあとは、身体面・精神面において後遺症を残さなかったと言います。
その症状として、2日目に眠気や倦怠感に襲われ、4日目には自分が有名プロスポーツ選手だという誇大妄想が起こり、6日目に幻覚を見るように。そして9日目には視力低下や被害妄想、11日目には極度の記憶障害を起こしましたが、断眠実験後、15時間ほど爆睡したあとは、身体面・精神面において後遺症を残さなかったと言います。
睡眠不足とパフォーマンス低下
また、オーストラリアでは、“睡眠不足がパフォーマンスにどういった影響を与えるか?”という実験がおこなわれ、徹夜で計算問題をさせて24時間経過すると、0.1%の血中アルコール濃度に相当する注意力低下が認められています。これは、一般的に「ほろ酔い」状態の数値で、一晩徹夜すると酔っぱらいのようになることがわかりました。
さらに、被験者を「完全徹夜群」「4時間睡眠群」「6時間睡眠群」「8時間睡眠群」と異なるグループに分けて、2週間過ごし、注意力テストをおこなった結果、次のような結果となりました。
4時間睡眠群と6時間睡眠群は、日ごとに注意力が低下していき、4時間睡眠群は6日目に、6時間睡眠群は10日目に、完全徹夜群の1日目に相当する注意力の低下が見られました。
●4時間睡眠群・6日目=完全徹夜群・1日目
●6時間睡眠群・10日目=完全徹夜群・1日目
●4時間睡眠群・6日目=完全徹夜群・1日目
●6時間睡眠群・10日目=完全徹夜群・1日目
6時間睡眠群は結果を見るまで、自分の注意力低下に気づかなかったと言います。ここが、この実験の重要なところで、軽い睡眠不足だと自分のパフォーマンスの低下に気づかない。現代人はだいたいこういう状況に陥っていると思われます。
睡眠不足が子どもの成長発達に与える影響
睡眠がなぜ重要なのか?それは、子どもの成長・発育にとって大事であることは強調すべきポイントです。成長ホルモンは寝ている間にしか出ず、睡眠不足は次のようなリスクを招きます。
【発育不全】
慢性的な睡眠不足による成長ホルモンの抑制
慢性的な睡眠不足による成長ホルモンの抑制
【肥満リスク】
空腹感が増し、満腹感が減るホルモン変化
空腹感が増し、満腹感が減るホルモン変化
【免疫機能の低下】
免疫系低下→感染症にかかりやすくなる
免疫系低下→感染症にかかりやすくなる
【学習・認知機能の低下】
学業成績の低下につながる
学業成績の低下につながる
【精神・行動面での変化】
不安抑うつ、情動不安定、衝動・攻撃性の亢進
不安抑うつ、情動不安定、衝動・攻撃性の亢進
【健康への不可逆的変化】
脳萎縮、全身的健康への悪影響
脳萎縮、全身的健康への悪影響
子どもの睡眠とメンタルヘルス
「中学生男子」「中学生女子」「高校生男子」「高校生女子」を対象に、睡眠とメンタルヘルスに関する研究では、中高生では、男子、女子ともに、睡眠時間7.5時間未満の群で抑うつリスクが有意に高く、児童小児・若年者は十分な睡眠が必要であることが判明しています。特に中学生男子では、睡眠時間が5.5時間未満だと鬱になるリスクが4倍にもなるという結果が出ています。
アスリートを取り巻く睡眠不足の要因
デスクワークをしている人に比べて、十分に体を動かすアスリートは睡眠量が多いと言えます。アスリートが睡眠不足となる場合、精神的プレッシャー以外にも、さまざまな要因があります。
睡眠を軽視して生じるトレーニング・パフォーマンスへの影響
睡眠を軽視するとトレーニング・パフォーマンスにどのような影響が出るのでしょうか。まずは「トレーニングの五大原則」との関係性から見ていきます。
トレーニングの5つの原則と睡眠
トレーニングの5つの原則(全面性、意識性、継続性、個別性、漸進性)は、トレーニングをより効果的なものとするために意識すべき要素です。
すべての要素(原則)において睡眠は重要であり、個人差があると言えます。
睡眠不足、睡眠制限が運動能力へ悪影響を与える研究結果は、長年にわたって、数多く報告されています。
・心肺機能
・精神・認知機能
・筋力
・疲労からの回復
・etc…
・心肺機能
・精神・認知機能
・筋力
・疲労からの回復
・etc…
睡眠不足はスポーツスキルにもダメージ
睡眠不足はスポーツスキルにもダメージをもたらします。テニスでおこなった実験では、8時間睡眠と5時間睡眠をそれぞれ3日間過ごしたのちプレーした結果、5時間睡眠ではヒット率が低下。
ゴルフでおこなった実験では、7~8時間睡眠のときと3~4時間睡眠のときでプレーした結果、3~4時間睡眠のときのほうが横方向へのズレが多くなりました。
ゴルフでおこなった実験では、7~8時間睡眠のときと3~4時間睡眠のときでプレーした結果、3~4時間睡眠のときのほうが横方向へのズレが多くなりました。
睡眠不足は筋力や持久力、疲労回復にも悪影響
睡眠不足は筋力にも悪影響を及ぼし、3時間睡眠で3日間トレーニングした実験では、「筋中心のリカバリーの遅延・障害」や「集中力・注意力の低下」が見られるとの結果が出ています。
トライアスロン選手のバイクトレーニングによる研究では、睡眠時間が7時間程度を「比較対象」とし、6時間以下の「睡眠制限群」と8時間以上の「睡眠延長群」で、4日間タイムを計測する実験をおこなったところ、睡眠が少ない「睡眠制限群」は遅くなり、特に4日目、「睡眠延長群」がタイムを縮めたのに対し、「睡眠制限群」は大幅に遅れる結果が出ています。
睡眠不足がアスリートに与える影響
睡眠不足とスポーツパフォーマンスの関係については、69の論文、227の結果が出ていることからも、(急性の)睡眠不足は、すべての運動パフォーマンスに悪影響を及ぼす(ようである)ことがわかっています。
意思決定や反応速度、協調運動、技術の習得、疲労回復の遅延など、アスリートにとって重要なスキルは睡眠不足でマイナスの影響を受けますが、試合など緊張した場面では影響も少し異なります。
特に重要な試合では、一時的な睡眠不足によるパフォーマンス低下は生じにくく、慢性的な睡眠不足によってはパフォーマンスが低下する可能性は高いと言えます。
特に重要な試合では、一時的な睡眠不足によるパフォーマンス低下は生じにくく、慢性的な睡眠不足によってはパフォーマンスが低下する可能性は高いと言えます。
睡眠時間と外傷の可能性~不眠、日中の眠気は脳震とうのリスク
睡眠が不足するとケガをする可能性が高くなります。学生アスリート160人を対象とした研究では、平均睡眠時間が「9時間」「8時間」「7時間」「6時間」「5時間」の中で9時間睡眠群が約20%と最も低く、6時間睡眠群が約70%と最も高い結果が出ています。
アメリカでは、コンタクトスポーツや交通事故を含めて、年間380万人が脳震とうを起こしていると報告されています。
不眠症、日中の眠気は、脳震とうの強い予測因子とも言われることから、睡眠がとても重要であることがわかります。
不眠症、日中の眠気は、脳震とうの強い予測因子とも言われることから、睡眠がとても重要であることがわかります。
睡眠を見直すことで得られる有益な効果
いいパフォーマンスを発揮するためには、十分な睡眠時間に加えて、質のいい睡眠をとることも重要です。ここでは、サッカー、ラグビー、バスケットボールの選手を対象におこなわれた研究を紹介します。
「継続性」と睡眠
オーストラリアの代表レベルのサッカー選手44名を対象に46週間おこなった研究では、睡眠の「継続性」の大切さを解明。
十分な睡眠に加え、決まった時間に寝て決まった時間に起きるなど、規則正しく質のいい睡眠をとる選手は、病気やケガが少なく、練習の欠席が少ない、という傾向があらわれました。
十分な睡眠に加え、決まった時間に寝て決まった時間に起きるなど、規則正しく質のいい睡眠をとる選手は、病気やケガが少なく、練習の欠席が少ない、という傾向があらわれました。
トレーニング効果と睡眠
睡眠と「トレーニング効果」の関係を調べた研究では、29名のプロラグビーアスリートを対象に、行動計を用いて睡眠時間を3週間モニター。
その結果、3週目の有酸素運動能力に有意な相互作用が見られ、睡眠時間が十分な選手ほどトレーニングの効果が高いとの報告がされています。
その結果、3週目の有酸素運動能力に有意な相互作用が見られ、睡眠時間が十分な選手ほどトレーニングの効果が高いとの報告がされています。
スキルの向上と睡眠
7~8時間の基本的な睡眠時間に対し、10時間に睡眠を延長した場合、どのような違いが見られるか。
バスケットボール選手を対象に、4週間後のスキルを比較した研究では、睡眠時間が長い方が、ダッシュのスピードやシュートの正確性がアップ、さらにやる気も増したという興味深い結果が出たとのことです。
バスケットボール選手を対象に、4週間後のスキルを比較した研究では、睡眠時間が長い方が、ダッシュのスピードやシュートの正確性がアップ、さらにやる気も増したという興味深い結果が出たとのことです。
こうした研究などから、持続的な睡眠不足が、パフォーマンス低下を導く生理的変化の可能性が示唆され、睡眠延長は「睡眠負債」の解消につながると考えられます。
適切な睡眠時間はどれくらいか?
パフォーマンスを維持・向上に、適切な睡眠時間とはいったいどれくらいでしょうか。健康な人を10人、毎晩14時間ベッドにいてもらった(好きなだけ寝てもらった)研究があります。
実験前の10人の平均睡眠時間は7.5時間。実験開始時、参加者は13時間近く眠っていました。しかし、その後は長く眠れなくなっていき、結局3週間後に睡眠時間は約8.2時間に固定。この約8.2時間が、この10人の生理的に必要な睡眠時間と考えられます。
実験前の10人の平均睡眠時間は7.5時間。実験開始時、参加者は13時間近く眠っていました。しかし、その後は長く眠れなくなっていき、結局3週間後に睡眠時間は約8.2時間に固定。この約8.2時間が、この10人の生理的に必要な睡眠時間と考えられます。
8.2時間が理想の睡眠時間とすれば、平均睡眠7.5時間の人は「毎日40分の睡眠不足」となり、持続的な睡眠不足が、パフォーマンス低下を導く生理的変化の可能性があると言えます。
睡眠不足・不眠・睡眠の質の低下
睡眠不足や不眠、睡眠の質の低下により、体内時計の乱れなどが起こり、以下のような影響が生じます。
短期的影響
ストレス
身体的問題
心理社会的問題
ストレス
身体的問題
心理社会的問題
長期的影響
循環器疾患
肥満
2型糖尿病
悪性腫瘍
精神疾患
死
循環器疾患
肥満
2型糖尿病
悪性腫瘍
精神疾患
死
アスリートへの睡眠サポート(指導の現場に還元する)
パフォーマンスを維持・向上させるため、疲労回復やケガの予防などのためにも、十分な睡眠時間と質のいい睡眠は重要。そのことがわかっていても、さまざまな理由から、睡眠不足となる学生アスリートは少なくありません。
大学生アスリートの睡眠不足
NCAA(全米大学体育協会)の調査では、アメリカの大学生アスリートの半数以上が睡眠不足である、という結果が出ています。
睡眠時間:8時間以下 50%
睡眠時間:7時間以下 79%以下
睡眠時間:7時間以下 79%以下
日本の大学生アスリートも、睡眠不足が報告されています。朝練習、深夜のアルバイト、消灯後のスマホ使用などによる、遅い就寝時間、早い起床時刻が、睡眠障害のリスク要因となっています。
ある学生アスリートの一日(1)
私のゼミでは、学生一人ひとりが「生活スケジュール」をプレゼンします。
ここではバスケットボール部に所属する大学生の一日を見ていきます。
ここではバスケットボール部に所属する大学生の一日を見ていきます。
ある学生アスリートの一日(2)
アスリートの場合、仮眠をしっかりとる
この学生の場合、オフ日に睡眠時間を多くとることで日頃の睡眠不足をカバーしているようですが、週の途中から疲れてくると言います。そこで、おすすめなのが「仮眠」です。
寝すぎると体が重くなったり、夜寝つきが悪くなったりするため、一般的には15~30分くらいにとどめるように言われていますが、アスリートの場合は約1時間と長めの仮眠をとることをおすすめします。
寝すぎると体が重くなったり、夜寝つきが悪くなったりするため、一般的には15~30分くらいにとどめるように言われていますが、アスリートの場合は約1時間と長めの仮眠をとることをおすすめします。
サッカーパフォーマンスと仮眠
仮眠がパフォーマンスにどのような影響を及ぼすかについてですが、例えば、サッカーでは、ボールを受けたりするときなどに周囲の状況を把握するスキャニングという首振り動作があります。練習前に仮眠をとった選手ととらない選手で、この動作の回数を測ったところ、仮眠をとった選手のほうが首振り動作の回数が多かったという報告もあります。
ちなみに、「9時間睡眠」と、「8時間+1時間睡眠」「7時間+2時間睡眠」の分割睡眠をした場合、有意差はないことがわかりました。
また、「40分仮眠」と「90分仮眠」した場合とで、パフォーマンスの効果を調べた研究では、「90分仮眠」したときのほうが、最大随意収縮(MVIC)が見られ、シャトルラン(5m)の成績が上がったことが報告されています。
仮眠とスポーツパフォーマンス
こうした研究の成果などから、昼食後(約14時)30~60分の仮眠では次のような効果があることがわかりました。
・身体的パフォーマンスに対して高い効果
・認知的パフォーマンスの中程度の向上
・スポーツ後の疲労の軽減を促進
・認知的パフォーマンスの中程度の向上
・スポーツ後の疲労の軽減を促進
また、仮眠の効果が睡眠慣性によって減弱されるのを避けるため、仮眠から覚醒後、活動開始まで最低60分必要であることも報告されています。
ただし、仮眠が睡眠不足から生じるスポーツパフォーマンスの低下を補うかどうかは、まだわかっていないようです。
夕方に仮眠を取るデメリット
仮眠を推奨する一方で、夕方から早い夜に仮眠をとる場合、デメリットもあります。
夕方~早い夜に仮眠をとるデメリット
・夜間の入眠困難
・夜間の睡眠の質の低下
・概日リズム(体内時計)の乱れ→睡眠パターンの悪影響
・夜間の入眠困難
・夜間の睡眠の質の低下
・概日リズム(体内時計)の乱れ→睡眠パターンの悪影響
夜に激しい運動をすると睡眠は悪くなる?
夜に高強度の運動をすると、交感神経系の亢進や光刺激などで、眠れなくなってしまう、と思われる方も多いのではないでしょうか。
28件の研究(325人)のメタ解析をおこなった結果、次のような結果となりました。
・異なる強度の夜間の急性運動が睡眠に与える影響→有意差なし
・高強度運動→REM睡眠の減少
・夕方の適度な強度の運動→睡眠効率、徐波睡眠など睡眠が改善
・高強度運動→REM睡眠の減少
・夕方の適度な強度の運動→睡眠効率、徐波睡眠など睡眠が改善
以上のことから、就寝前におこなう夜間の運動は、健康な若年および成人の睡眠を悪化させないことがわかりました。
西多先生からのメッセージ
今回の講演では、「プレーヤーの心と体を守る睡眠のキホン」という演題でして、西多先生から「睡眠」の大切さを学ぶことができました。
講演の最後に、西多先生から指導者の方たちへ、メッセージがありました。
以下の点に留意して、読者の皆さんもぜひ、“よりよい睡眠”への理解を深めてください!
アスリートの睡眠のポイント
●睡眠不足はパフォーマンスを低下させる
●睡眠不足は筋力、持久力、疲労回復にも悪影響
●睡眠不足はケガや疾病のリスク増
●十分な睡眠に加え、規則正しい質の高い睡眠を心がける
●練習前に約1時間仮眠をとる(練習開始まで60分あける)
など
●睡眠不足はパフォーマンスを低下させる
●睡眠不足は筋力、持久力、疲労回復にも悪影響
●睡眠不足はケガや疾病のリスク増
●十分な睡眠に加え、規則正しい質の高い睡眠を心がける
●練習前に約1時間仮眠をとる(練習開始まで60分あける)
など
「睡眠には個人差が大きく、年齢別に適切な睡眠時間があること」「加齢によって睡眠・体内リズムも変化し、同じ人でも日によって睡眠の質量が異なること」を踏まえたうえで、睡眠は、「トレーニング」「コンディショニング」「スキル」「コーチング」「栄養」「心身の健康・発達」などさまざまな要因に影響を受けることから、指導者の方たちは、引き続き睡眠への理解を深めて、指導にあたっていただきたいと思います。