「スポーツ業界に恩返しをしたい」セレスポが考える新時代のイベント運営

ささえる
株式会社セレスポはスポーツイベントの運営に携わる会社です。

セレスポという社名は、創業事業である「セレモニー&スポーツ」を略したもので、セレモニーは地鎮祭等の建設式典、スポーツは社内運動会などのイベントを指し、それらイベントの設営・運営を行う会社としてスタートしました。

現在では地域イベントやプロモーション、陸上やトライアスロンを始めとする、さまざまな競技の日本選手権、国際競技大会などを手掛けています。

ちなみに、以前から国民体育大会の運営も一部、ご担当くださっているんです!

※国民体育大会、いわゆる国体は私たちJSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)が主催しているスポーツイベントです。
▲第66回全日本実業団選手権大会
▲トライアスロン大会(2019 Tokyo ITU World Olympic Qualification Event) ©︎Satoshi TAKASAKI/JTU
▲バレーボール (V.LEAGUE DIVISION1 WOMEN 2018-19) 承認番号:VLSP-2019-026
それにしてもスポーツイベントの運営ってすごく大変そうですよね?

普段、テレビなどでスポーツの試合を見るときには選手たちが競っている様子を目で追ったり、実況や解説の声に耳を傾けているだけで夢中になってしまいますので、運営しているスタッフの方々がものすごく頑張っているということを忘れてしまいがちです。

だけど、スポーツイベントの運営のしくみを知ることでスポーツ全体のことをもっと深く理解することができ、今よりもさらにスポーツを楽しめるようになると思いませんか?
そこで今回、各種スポーツイベントの運営に携わっている株式会社セレスポの神門(かんど)さん(写真左)と磯村さん(写真右)にお話を聞いてみたいと思います!

北京五輪予選、前代未聞の「再試合」を経験

--セレスポがスポーツイベントを運営するようになったきっかけについて教えてください

(神門さん)
1977年の創業当時は会社として「社内運動会」といった社内行事のサポートをビジネスにしていました。実はセレスポが国体や国際競技大会、陸上競技大会といった大規模なスポーツイベントの運営を請け負うようになったのは10数年ほど前からなんです。

それ以前にもスポーツイベントの仕事はあったのですが、設備の貸し出しとか、関係者にお弁当を配ったりとか、メインの運営に携わるというよりはサポートの仕事を任されることが多かったんです。そのため、セレスポのことを弁当屋だと思っていた人も中にはいたと思いますね(笑)
(神門さん)
さておき、セレスポがスポーツイベントの運営会社として業界的に注目されるようになったきっかけは2008年、「五輪出場権をかけた試合の再試合」が行われることになり、その運営を担当したことなんです。

通常、五輪予選のような国際的な大会の運営は3〜4年前から入念に準備して、万全を期した状態で行われるものなんです。しかしこの時はイレギュラーで、すでに行われた試合が疑惑の判定となり、再試合となる可能性がまず浮上しました。

そもそも再試合を行うのか行わないのかの議論も続き、ようやく再試合となることが決まったのは2008年1月5日。五輪の規定で予選の試合は1月30日までに終えていないといけないという決まりがありました。準備する期間があまりにも短かったんです。
--すごい状況ですね。しかも、セレスポはこれまで大規模なスポーツイベントを本格的に運営したことはなかったんですよね?
(神門さん)
そうなんです。主催の競技団体さんも色々とイベント運営会社を探したと思いますが、ほとんどの会社が「そのスケジュールでは無理」という反応を示したと思います。

ようやくセレスポが運営を担当すると決まった時は本番まで2週間もないぐらい。設営などの準備期間に至っては1週間ほどしかありませんでした。

どう考えても無茶苦茶なスケジュールですし、セレスポのスタッフはその競技に関しては素人でしたから。
--シビれる展開ですね! 結果、無事に運営はできたのですか?
(神門さん)
私はその時、運営に関わっていたわけでは無いのですが、奇跡的に大きなトラブルもなく、試合を終えることができたそうです。

あまりの難局に、かえってスタッフ全員が燃えたんだと思います。競技のことを詳しく知らないまでも、イベント運営に関しては全員がプロですから。企画、制作、設営、進行、運営をスムーズに行うノウハウがありました。

その「前代未聞の再試合」がきっかけで、業界内でセレスポが評判となりました。

「あの会社は逃げない」「あの会社は信用できる」 と。
--「前代未聞の再試合」はセレスポがスポーツイベントに関わるきっかけとなった出来事なんですね!
(神門さん)
そうです。

そして、私を含め、現在セレスポで働いているスタッフは「前代未聞の再試合」を成し遂げた先輩たちから、仕事のノウハウや仕事との向き合い方、心構えなど大切なことを教わってきました。また、自分自身も様々なスポーツイベント運営に関わることで経験を重ね、成長を続けています。

スポーツイベント運営を続けていると、予期せぬ事態やトラブルなどと直面することがよくありますが、「逃げない」「諦めない」「なんとかする」という考え方は、脈々と受け継がれているセレスポという会社のDNAなんです。
--なるほど。素敵なお話ですね!

スポーツイベント運営にトラブルはつきもの

--スポーツイベントの運営をやる上で、どんな仕事をこなさないといけないのでしょうか?
(磯村さん)
スポーツイベント運営の仕事、役割は多岐に渡ります。企画に始まり、イベントに人を呼ぶための広告・宣伝、各種会場の手配、設備の手配、前日の設営、当日の進行、運営。

それと、各種申請や交渉なども仕事に含まれます。たとえば、トライアスロンだったら、ランやバイクで公道を占有することもありますし、スイムで川、海、湖といった場所を使うこともあります。これらの使用許可をとったり、交通整備や警備、万が一に備えての救急・救護といった準備も必要です。

また、近隣住民の方々への配慮も忘れることはできません。
--本当に大変そうですね。実際、どんなことが一番大変だと思いますか
(磯村さん)
やはり予期せぬトラブルがつきまとうことですね。

過去にあった例だと、マラソン競技のゴール地点がとあるショッピングモールの駐車場だったんですが、観客が集まりすぎて想定していないエリアまで人だかりができてしまって。道が人で塞がってしまい、車が通れなくなってクレームがきたり…

数年前から準備してきたイベントでも、台風などの予測不可能な天候になって中止になったりします。ちなみに一般的な陸上競技大会は、当日の天候などで競技不可能となった場合、延期になることもあるんですが、大体の場合は中止になるんです。
--トラブルは多そうですね…。ちなみに中止になるとどうなるんですか? 運営元の収入はなくなるんですか?
(磯村さん)
たとえばマラソン競技などの場合は大会にエントリーした選手が事前に参加費を払うのですが、止むを得ない事情で中止になった場合でもお金は返さないんです。開催しようと準備をするだけでもかなりの費用がかかりますから、返金となるとビジネスが立ちいかなくなるんですよね。

選手の方々も中止の場合は返金されないことをご理解された上で、エントリーしていただいております。

また、スポーツイベントの開催費用はすべてエントリーした選手たちに負担していただいているわけではありません。イベントを誘致した自治体の補助金が充てられたり、企業からの協賛金があったり。

スポーツイベント運営の仕事のやりがいについて

--この仕事の「やりがい」について教えてください
(神門さん)
スポーツ競技の魅力ってドラマ性があることだと思うんです。記録を目指したり、ライバルとの勝負があったり、五輪出場のための代表権を巡ったり。そこに至るまでの選手1人1人のエピソードや、本番に向けての練習や様々なアプローチのすべてが人間ドラマなんですよ。

真剣勝負の場を見ているファンには言葉がなくても感動が伝わるし、スポーツを通じて勇気や元気をもらえる。それに関しては僕たちも同じなんですよね。設営スタッフ、運営スタッフ、主催者。

そのための場を提供できていること、イベントに関われるということがなによりも仕事のやりがいだと感じています。
(磯村さん)
数年前までは、多くの競技で日本一を決めるような大会でも空席が目立ちました。でも、少しずつ人気が出てきて、メディアで注目を集める選手が誕生したり、その選手のファンがたくさん会場に足を運ぶようになったんですね。

自分たちが関わることで、スポーツが成長していく様子を近くで見ることができるのは、この仕事の醍醐味だと思います。

セレスポが今後、目指したいこと

--セレスポがJSPOに協賛してくださっている理由についてお聞きしてもいいですか?
(神門さん)
先ほど、スポーツに関わるきっかけとなった再試合の運営の話をしましたが、私たちはスポーツイベントに携わることで「会社として成長させていただいた」という認識があるんです。あの厳しい経験を経た先輩たちがいて、私達一人ひとりが先輩たちからさまざまなことを教わり、自分自身も現場の最前線で業務経験を積み重ねてきました。そうしたノウハウを共有し続けることができたからこそ、今のセレスポがあると考えています。

私たちはスポーツという文化を育てるつもりで仕事に携わりながらも、会社としてはスポーツに育てていただいた恩があるんです。
(磯村さん)
日本のスポーツが活性化すれば、良い選手が生まれ、たくさんのファンが試合会場に足を運び、結果的に私たちも元気になれるという良いサイクルが生まれます。

日本のスポーツ界に少しでも恩返しできれば、という思いから、JSPOにも協賛をさせていただいているんです。
--ありがとうございます。ちなみに、その道のプロとして国体とはどのような位置づけのスポーツイベントだと思いますか
(神門さん)
日本の中での五輪」という感じの大会だと思います! 本当にたくさんの種目があって、それぞれが単一のイベントとしても楽しめますよね。
(磯村さん)
競技によっては国体が一番格式の高い大会となるものもありますし、選手の立場から考えても非常に重要な大会だと思います。
--最後に「今後、スポーツイベントがこのように発展して盛り上がればいいな」と考えていることについて教えてください
(神門さん)
やはり1人の選手のファンとして会場に足を運ぶ人も多くなったように感じます。いわゆる「追っかけ」であったり、選手に強い憧れをもつ子ども達だったり。

そこで、プロのアスリートとファンが実際に触れ合う場などをもっと増やしていけば盛り上がるなって思うんですよね。ツーショットの写真撮影とか、握手とか。でも選手の負担も増えますし、安全面とかで色々と課題があると思うので…

色々と考えていきたいですね!
(磯村さん)
「スポーツプレゼンテーション」という言葉がありますが、映像や音声、ホスピタリティなどを含めてスポーツイベントの魅力を高めるための企画や演出のことをそう呼びます。

例えば、昔はマラソン競技とかだと現地にいるファンは目の前を走っていく選手たちを応援できるけど、レース自体の状況はいまいち分からなかったりしました。でも今は、各所にレース中継のモニターを設置したり、Webサービス(アプリ)がスマートフォンと連動してスポーツ競技の速報が読めるようになったり。ITの力もあって、会場に足を運んでくれたファンが、より楽しむための工夫を色々できる時代になったと思います。

そういうアイディアをどんどん提案して、新しいスポーツイベントの楽しみ方を模索していきたいです!
--本日は素敵なお話をありがとうございました。 今後ともよろしくお願いします!