スポーツをする人におすすめの冬レシピ!食事を見直して健康的な体づくりを心掛けよう

する
スポーツをする人におすすめの冬レシピ!食事を見直して健康的な体づくりを心掛けよう
健康的に過ごすためには、日々適度な運動を心がけたいもの。しかし、気温が下がり筋肉が固まりやすい冬はケガの多い時期なので注意が必要です。そこで、冬におすすめのレシピをJSPO(日本スポーツ協会)公認スポーツ栄養士の小嶋理恵子先生に教えていただきました。日々の食事のポイントや栄養管理の注意点と併せてチェックしていきましょう。

スポーツのパフォーマンス向上にもつながる食事のポイント

定期的にトレーニングをする人や健康的な体づくりのために運動をする人にとって、食事は重要なものです。どのような栄養素をどういったタイミングで摂取すればいいのかなど、パフォーマンスの向上やコンディション維持にもつながる食事のポイントについて紹介します。

朝食をしっかり食べる

朝食は体にエンジンをかけるために必要なもの。また、1日の中で最も体温が低いといわれる朝にしっかりと食事を摂ることで体温が上がり、冬時期の冷え対策にもなります。

朝食はご飯やパンなどの炭水化物単品で済ませるのではなく、タンパク質を含むおかずも一緒に摂ることが体温を上げるコツ。タンパク質を含むおかずは、豆腐や納豆などの手軽なものでも良いので、しっかりと食べることが大切です。具だくさんの味噌汁であれば、野菜やタンパク質を含んだ食材、発酵食品などをバランスよく摂れます。

朝食で摂りたいカロリーの理想は、1日の摂取カロリーの3分の1。男性の場合、18~29歳の1日の摂取カロリーは約2700kcalといわれているので、約900kcal分(コンビニ弁当1個分程度)の朝食を摂ると良いでしょう。女性の場合、18~29歳の1日の摂取カロリーは約2000kcalといわれているので、朝食は670kcal程度が目安です。

旬の食材を取り入れる

夏は水分補給や食欲不振改善、秋は疲労回復、冬は冷えや乾燥対策といったように、季節ごとに注意すべきポイントがあります。そのようなポイントを踏まえて取り入れたいのが旬の食材です。旬の食材は美味しく手に入りやすいだけでなく、季節ごとの不調を改善してくれるものも多いので、積極的に食事に取り入れましょう。

例えば、冬が旬の食材で代表的なのは、白菜・ほうれん草・ねぎ・じゃがいも・大根・カブ・ごぼうなど。これらは、ビタミンA・C・Eが豊富で免疫を高める効果があるとされています。特に、ビタミンCやEは血液の流れを促進し、体を温める効果も期待できます。

発酵食品で腸内環境を整える

味噌やヨーグルトなどの発酵食品は、腸内環境を整える働きがあることで知られています。腸内環境を整えるとは、体に良い影響を与える善玉菌と悪い影響を与える悪玉菌、そして優勢な菌に加勢するといわれる日和見菌のバランスを整えること。善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7が最適なバランスといわれており、腸内環境を整えると健康増進にもつながります。また、腸には免疫細胞の6割が存在するといわれているので、感染症予防も期待できます。

腸内環境を整える時に注目したいのが「シンバイオティクス」。これは、腸内に有益な菌を増やす「プロバイオティクス」と、その菌の餌を増やす「プレバイオティクス」を同時に行うことを指します。プロバイオティクス食品には味噌・ヨーグルト・チーズなど、プレバイオティクス食品にはオリゴ糖、きのこなどの食物繊維を含む食材が挙げられます。これらの食品を一緒に摂取して、腸をしっかり整えましょう。

スポーツをする人におすすめ!タンパク質を積極的に摂れる冬レシピ

先に紹介した食事のポイントを踏まえ、タンパク質を積極的に摂れる冬レシピ3品を見ていきましょう。

サバ缶の味噌汁

▼1人前:231kcal
<材料>2人分
白菜  200g
人参  50g(3cm程度の⻑さ)
サバの水煮缶  1缶(190g)
味噌  大さじ1.5
水 300ml
【作り方】
1)白菜を2cm幅に切る。人参は皮を向き、少し厚めの短冊切りにする。鍋に白菜と人参を入れて煮る。
2)人参に火が入ったら、サバの水煮缶を汁ごと入れる。
3)味噌を溶かし入れる。ひと煮立ちさせた後に火を止めて、できあがり。
<ポイント>
・サバの水煮缶は良質な青魚の油を季節問わずに摂れ、料理に使うとボリュームが出ます。また、水煮缶を汁ごと入れることで、「顆粒だし」などが必要なく減塩にも。
・白菜は収穫後も内側にある「生⻑点」に向かって栄養を送り続ける特徴があります。そのため、内側から使用することで、外側も栄養を保つことができ、最後まで美味しく食べられます。
・白菜にはビタミンC、カリウム、食物繊維などさまざまな栄養がバランス良く含まれ、特にビタミンCは抗酸化作用もあるため、風邪予防にも繋がります。
・味噌に含まれる乳酸菌や酵素などは熱に弱いため、沸騰させると激減してしまう。火を止めてから味噌を入れるようにしましょう。

とろとろチーズのポークピカタ~トマトソースかけ~

▼1人前(ピカタのみ):489kcal 、(サラダ・ソース付き)538kcal
<材料>2人分
※ポークピカタ
豚ロース肉(薄切り) 8枚(約240g)
スライスチーズ 4枚
薄力粉 適量
卵 1個
サラダ油 小さじ1
塩・こしょう 少々

※トマトソース(お好みで)
トマト缶 1/3缶
しめじ 30g
玉ねぎ 20g
にんにく 1片
サラダ油 小さじ1
塩・こしょう 少々

※付け合せ(お好みで)
ベビーリーフ
レタス
【作り方】
1)筋切りをした薄切り肉の両面に塩・こしょうを振る。
2)1枚の肉にスライスチーズを適当な大きさに切ってのせ、もう1枚をかぶせて軽く押さえる。
3)肉全体に薄力粉をまぶし、溶きほぐした卵液に肉をひたす。
4)フライパンに油をひき、片面ずつ中火で2分弱程度焼く。

(お好みトマトソース)
1)フライパンに油をひき、みじん切りにしたにんにくを入れ、油に香りを移す。くし切りにした玉ねぎ、小房に切ったしめじを軽く炒める。

2)トマト缶を入れ2~3分ほど軽く煮る。塩・こしょうで味を整える。

3)ベビーリーフとレタスは軽く洗い、手でちぎって軽く混ぜる。

4)お皿にサラダ、ピカタを盛り付け、トマトソースをかけたらできあがり。

<ポイント>
・豚肉には糖質をエネルギーに変える時に使用する「ビタミンB1」が豊富に含まれています。ビタミンB1をしっかりと摂取すると、疲れにくい体づくりに役立ちます。
・ただし、ビタミンB1は茹でると約50%以上が流れ出てしまうので、効率よく摂取するためにも焼く方法で調理するのがベストです。
・普段摂りづらいチーズなどの乳製品も、お肉と一緒なら簡単に美味しく食べられます。

火を使わない!簡単!ポテトグラタン

▼1人前:439kcal
<材料>4人分
じゃがいも 大2~3個
ベーコン 3枚
ピザ用チーズ 40g
塩・こしょう 少々
生クリーム 120ml
牛乳 50ml
粉チーズ 少々(お好みで)
【作り方】
1)じゃがいもを2〜5mm程度(厚く切りすぎない)の薄さにスライスする。<水にはさらさなくてOK>

2)ベーコンは2cm幅に切る。

3)耐熱皿にじゃがいもを並べ、塩・こしょうを振る。
4)ベーコン→チーズ→じゃがいもの順に重ね、最後にチーズをのせる。
(じゃがいもを並べるときにはじゃがいも同士を重ねない。)お好みで最後のチーズに粉チーズを使用してもOK!
5)生クリーム・牛乳を入れ、電子レンジにかける。(600W5分×2回)
6)じゃがいもに火が通ったことを確認してから、お好みでトースターで焦げ目をつけ(3〜5分程度)、できあがり。

<ポイント>
・じゃがいもには、みかんと同じくらいのビタミンCが含まれている。また、じゃがいもに含まれるビタミンCはでんぷんに守られており、酸素や水に触れないため、熱に強く壊れにくいという特徴がある。
・牛乳や生クリームを料理に使うことで、カルシウムも摂取できる。カルシウムは骨や⻭の材料になるだけでなく、筋肉の収縮運動にも不可欠な栄養素なので、成⻑期の子どもだけでなく、大人も積極的に摂取したい。また、心筋の機能を正常に保ったり、体内のイオンバランスを正常に維持したりと、生命活動の中心的な役割をも担っている。
・火を使わないので、料理が得意でない人でも簡単につくれる。

運動や体づくりを行う際に気を付けたい栄養管理の注意点

定期的な運動を行い、健康的に過ごすためには、日々の栄養管理にも気を付ける必要があります。無理な減量などは避け、体づくりに必要な栄養をしっかりと摂りましょう。また、食事と運動のバランスを考えることも重要です。

空腹での運動は避け、適切なタイミングでエネルギー補給を行う

運動をする時は、満腹でも空腹でもないニュートラルな状態がベスト。そのため、運動を始める2-3時間前には「通常の食事」が食べ終わっていることが理想。運動前の食事は運動時のエネルギー補給のため、炭水化物メインのものを選びましょう。冬の時期は「お餅」がおすすめです。運動前にお腹がすく場合には、1時間前までに、おにぎり、バナナ、栄養ゼリーなどを補給しましょう。

運動後すぐにリカバリーが必要な場合には、運動終了後30分以内に糖質とタンパク質が含まれた「補食」を活用しましょう。次の食事に影響が出ないよう、300~500kcal程度で抑えましょう。

食事と運動のバランスを考える

食事と運動のバランスを考えないと、「月経障害」や「疲労骨折」などの不調が出ることが懸念されています。そのため1日の食事の中で1食は、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルが揃っている食事の摂取を心掛けましょう。

適切な食事量は、どのようなスポーツや仕事をどの程度するか、といったライフスタイルによって変わります。基本は動く量に見合った食事量に設定することが大切なので、まずは自分がどのくらい動くかを把握します。また、体重についても日々、同じ時間帯に同じ体重計で計測し、それに見合った食事量を見極めましょう。

減量のときの食事のポイントは「食事の栄養バランスを変えずに!」全体の食事量を抑え、積極的に運動を行うことです。主食だけを抜かす、タンパク質だけを摂る、など栄養バランスを崩してしまうと、体調不良につながるだけでなく、つけたい筋肉が減ってしまう、という悪循環に。普段あまり運動をしていない方がスポーツを始めたときには、運動効果として、すぐにお腹が空いてしまうことも。食事量を変えずに、摂取カロリーを減らす工夫として、こんにゃく、海藻、きのこなどの、ローカロリーのかさ増し食材を摂り入れることもおすすめです。

「運動」も「食事」も正しい知識を持って、正しい手法で実践することが大切です。スポーツを頻繁に行う人やアスリートが減量や体づくりを行う時には、JSPO公認のスポーツ栄養士やトレーナーなどの専門家に相談しながら進めていきましょう。そうすることで、プロ指導のもと安心して体づくりができます。

公認スポーツ栄養士の概要:https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid219.html
公認アスレティックトレーナー(JSPO-AT)の概要:https://www.japan-sports.or.jp/coach/tabid218.html
全国の公認スポーツ栄養士、公認アスレティックトレーナー検索ページ:https://www.japan-sports.or.jp/coach/DoctorSearch/tabid75.html

適切な食事と栄養管理で寒い冬を健康的に乗り切ろう!

食事と運動のバランスを意識することは、健康的な体づくりを心掛けている人にも、定期的にトレーニングをしている人のパフォーマンス向上にも重要です。今回紹介したレシピはどれも簡単につくれるものばかりなので、この記事を参考に食事や食生活を整えつつ、適度な運動も取り入れて、寒い冬も健康的に乗り切ってくださいね!

<小嶋理恵子先生 プロフィール>
JSPO公認スポーツ栄養士/管理栄養士。給食委託会社や大学病院、総合病院で約10年間の給食管理業務、臨床栄養指導を経験後、2020年よりアスリートの栄養サポートを行う事業団体「plus N」を主催。代表も務めている。