スポーツをする人におすすめの春レシピ!試合後や練習後の疲れた身体をやさしくリカバリー

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スポーツをする人におすすめの春レシピ!試合後や練習後の疲れた身体をやさしくリカバリー
春は新生活がスタートする時期。スポーツをする環境が大きく変わる人も多いのではないでしょうか。たとえば、中学生からは部活動が始まり帰宅時間が遅くなったり、新社会人として働き始めると運動するタイミングが変わったり。慣れない環境や生活リズムのなかで、運動はもちろん、勉強や仕事でもベストパフォーマンスを発揮できるように、「食事(栄養)」には十分気をつけたいものです。
そこで、JSPO(日本スポーツ協会)公認スポーツ栄養士の小嶋理恵子先生に、『リカバリー』をテーマに、春におすすめのレシピを教えていただきました。

試合後や練習後のリカバリーに注目

リカバリーとは「元の状態に戻す」こと

基本的にトレーニングをすると、体の筋肉が傷ついたり、体の中に蓄えられていたエネルギーが無くなっていったりします。この無くなってしまったエネルギーを補給し、休養を取って(運動)能力を元の状態に戻すことをリカバリーと言います。なお、この際、傷ついた筋肉が修復する際に、リカバリーを経て以前より強くなることを「超回復」と言います。このいずれも、しっかりとした栄養と休養が重要となってきます。

疲労の原因は、水分やエネルギー源の減少など

運動をすると、水分やエネルギー源であるグリコーゲンの減少、筋の損傷、脳を含む神経系へのダメージ疲労など、さまざまな反応が生じて疲労が起こります。
疲労は、筋力・柔軟性・持久力・集中力の低下を招く原因となるので、水分やバランスの良い栄養(糖質・脂質・タンパク質・ビタミン・ミネラル)を補給したり、マッサージなどで血液循環を促進したり、睡眠をしっかりとるなどして、疲労の回復(リカバリー)に努めることが大切です。

試合後や練習後のリカバリーは、段階的に・継続的に

リカバリーでは、運動で失われた水分やエネルギー(糖質・タンパク質)をなるべく時間を空けずに補給することがポイントとなります。
試合後や練習後のリカバリーは、運動後の消化吸収能力に合わせて、下記のように段階的に継続してとることをおすすめします。
第1段階(運動後30~45分以内)
水分と糖質補給:スポーツドリンク、ゼリー飲料など
第2段階(運動後1~1.5時間以内)
タンパク質や微量栄養素の補給:おにぎり、サンドイッチなど(水分補給も合わせて)
第3段階(運動後2時間程度)
主食(糖質:ご飯・パン・麺など)、
主菜(タンパク質:肉・魚・卵・大豆製品など)、
副菜(ビタミン・ミネラル:野菜・キノコ類・海藻類など)、
果物(ビタミン・ミネラル)、
乳製品(カルシウム)
など栄養バランスを考えた5つのお皿を心がけましょう。

空腹での運動は避け、適切なタイミングでエネルギーを補給

運動をする時は、満腹でも空腹でもないニュートラルな状態がベスト。そのため、運動を始める2-3時間前には「通常の食事」が終わっていることが理想。運動前の食事は運動時のエネルギー補給のため、炭水化物メインのものを選びましょう。
運動前にお腹がすく場合には、1時間前までに、おにぎり、バナナ、栄養ゼリーなどを補給しましょう。

運動後に食べたい、旬の食材を使った春レシピ

ハードな運動をしたあとは、糖質とタンパク質の両方を摂るようにしましょう(特にたくさん消費した糖質を多めに摂りましょう)。また、胃腸も疲れているため、刺激物を避け、消化の優しいものがおすすめです。
今回は、タケノコ、新ジャガ、初ガツオ、春キャベツなど、旬の食材を使った4つの料理を紹介します。

1) タケノコと牛肉のオイスター炒め

【材料(2人分)】
牛切り落とし肉…150g
タケノコの水煮…100g
ピーマン…2個
ごま油…大さじ1
[調味料]
*酒…大さじ2
*オイスターソース…大さじ2
*しょうゆ…大さじ1
*砂糖…大さじ1
*鶏ガラスープの素…小さじ1
【作り方】
1.タケノコは薄切り、ピーマンは細切りにする。
2.牛肉は食べやすい大きさに切る。
3.あらかじめ*印のついた調味料は合わせておく。
4.フライパンにごま油を引き、牛肉を入れて中火で炒める。タケノコとピーマンを加えてさらに炒め、牛肉の赤みが残っている間に調味料を入れたら、汁気が無くなり味が馴染むまでひと炒めする。
5.お皿に盛りつけて出来上がり。
【栄養量】
エネルギー:309kcal
タンパク質:14.5g
脂質:26.5g
炭水化物:5.8g
食物繊維量:2.5g
食塩量:1.2g
*ピーマンの種やワタには、カリウムやピラジンなどの成分が含まれています。余すところなく栄養をとり入れたい方は、ぜひ種やワタも一緒に調理し、お召し上がりください。

【ポイント】

タンパク源であるお肉には必須アミノ酸が含まれていますが、特に牛肉には分岐鎖アミノ酸と呼ばれるBCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)が多く含まれています。この中のロイシンはタンパク質を筋肉に変えるためのスイッチのような役割があるので、牛肉は筋肉の修復や補強のためにぜひ摂ってほしい食材と言えます。
さらに、牛肉は他のお肉より鉄分が多く、亜鉛やビタミンB12なども多く含まれています。鉄分はビタミンCと一緒に摂ることで吸収しやすくなるので、ビタミンCが多く含まれるピーマンを合わせています。
タケノコは、チロシンやカリウムのほか、特に食物繊維を多く含んでおり、食物繊維は腸の中を整えてくれる働きがあります。腸は免疫細胞が約6割も占めている臓器で、そこを整えることで風邪などを引きにくくなります。

2) 新ジャガイモとブロッコリーの温サラダ

【材料(2人分)】
ブロッコリー…8房
新ジャガイモ…中1個
ウインナーソーセージ…4本
にんじん…1/4本
塩、コショウ…少々
[調味料]
*粒マスタード…小さじ2
*酢…小さじ2
*オリーブオイル…大さじ1
【作り方】
1.新ジャガイモは、皮ごと食べやすい大きさに切る。※芽は必ず取り除く。
2.にんじんは皮をむき乱切り、ブロッコリーは洗って小分けにしておく
3.鍋に入れ、塩ひとつまみと多めの水を加えて中火にかける。
*後で他の材料も入れるので、少し大きめの鍋をおすすめします。
4.沸騰したら、にんじん、ウインナーソーセージを加え、弱火~中火で約8分茹でる。
5.ブロッコリーを加えて、さらに3分茹でる。
6.ザルにあげ、温かいうちに、*の調味料を加えて和え、塩・コショウで味をととのえる。
7.お皿に盛りつけて出来上がり。
【栄養量】
エネルギー:212kcal
タンパク質:6.9g
脂質:14.4g
炭水化物:17.0g
食物繊維量:4.6g
食塩量:0.9g

【ポイント】

糖質の補給源というと、ご飯、パン、麺などが定番ですが、実はイモ類にも糖質が多く含まれています。主食のご飯を無理してたくさん食べずとも、ご飯+おかず(イモ類)で糖質をたくさん摂ることができます。

3) カツオのてごねずし

【材料(4人分)】
カツオの刺し身(さく)…1本(約300g程度)
ごはん(温かいもの)…2合
カイワレ大根…1/2パック
甘酢ショウガ…1かけ
白いりごま…大さじ1
[つけ汁]
しょうゆ…大さじ2
酒…大さじ1
みりん…小さじ2
おろしショウガ…少量
[合わせ酢]
酢…大さじ3
塩…小さじ1と1/3
砂糖…大さじ2
【作り方】
1.カイワレ大根は一口大に切る。甘酢ショウガは千切りにする。ごまは一度炒っておく。
2.耐熱の小さめの器に合わせ酢の調味料を入れて混ぜ、ふんわりとラップをかけて電子レンジ(600W使用)で30〜40秒ほど加熱する。よく混ぜて砂糖を溶かし、粗熱をとる。
3.カツオはペーパータオルで水気を拭き取り、そぎ切りにする。つけ汁の材料を混ぜておく。バットへカツオを並べ、つけ汁をかける。時々返しながら、10~15分ほど冷蔵庫に置いて、味をなじませる。
4.温かいごはんに2を加えて、手早く混ぜ、粗熱をとる。
5.4へ3のカツオ(適量)を汁気を切って加え、さらにごま、甘酢ショウガの半量を加えて、カツオの身を崩さないように混ぜる。
6.5のごはんを器に盛りつけ、カツオ、カイワレ大根、甘酢ショウガを飾りつけて、出来上がり。
【栄養量】
エネルギー:435kcal
タンパク質:24.8g
脂質:2.6g
炭水化物:77.7g
食物繊維量:3.2g
食塩量:2.0g

【ポイント】

体の成長に欠かせないDHAやEPAをはじめ、鉄分、タウリン、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンB群も含まれるなど、カツオは栄養満点の魚です。なかでもビタミンB群は、エネルギー代謝に必要な大切な栄養素ですが、水溶性のビタミンのため、魚(刺身)のように生で食べるのがポイント。春の初ガツオはさっぱりしていてお寿司にもぴったりです(手ごねずしは三重県の郷土料理です)。

4) 春キャベツと卵のサラダ

【材料(2人分)】
卵…2個
キャベツ…200g
きゅうり…1本
ミニトマト(飾り用)…2個
マヨネーズ…大さじ3
塩・コショウ…少々
春キャベツは菜の花にアレンジしても◎
菜の花を使用する際には、600Wの電子レンジで約50秒程度加熱して、粗熱をとって食べやすい⻑さにカットしてから和えましょう。
【作り方】
1.卵はゆでて殻をむき、食べやすい大きさに切る。
2.キャベツはざく切りにし、600Wの電子レンジで約2分30 秒程度加熱し、粗熱をとる。
3.きゅうりは細切りにし、軽く塩をふって、水気をとっておく。ミニトマトはヘタをとり洗っておく。
4.ボウルに、卵、キャベツ、きゅうりをいれ、マヨネーズで和える。塩・コショウで味を整える。
5.お皿に盛りつけてミニトマトを載せて出来上がり。
【栄養量】
エネルギー:208kcal
タンパク質:8.5g
脂質:16.8g
炭水化物:9.7g
食物繊維量:2.8g
食塩量:0.6g

【ポイント】

生でも加熱しても食べやすく、どんな料理にも合うキャベツ。なかでも春キャベツはやわらかさが魅力です。キャベツには、ビタミンC、ビタミンK、カルシウム、食物繊維、グルタミン酸などが含まれていますが、なかでも特徴的なのがビタミンU。これはキャベツから発見された別名「キャベジン」と呼ばれるビタミンで、胃や腸の粘膜を修復する働きがあります。

作る側の負担を減らすワンポイントアドバイス

丼ものやワンプレートで皿数を減らす!

食事の基本スタイルとして、主食、主菜、副菜、果物、乳製品など栄養バランスを考えた5つのお皿が紹介されていますが、栄養バランスがとれていれば皿数にこだわる必要はありません。
たとえば、親子丼などの丼モノにすれば、1皿で主食や主菜がまかなえますし、仕切りがあるお皿(ワンプレート)なら1皿でさまざまな食事が楽しめます。ワンプレートにしたり皿数を減らしたりすることで、洗い物がラクになるといったメリットが生まれます。

栄養バランスのいい食事で、勉強も仕事もパフォーマンスアップ

「食事」も「運動」も正しい知識を持って、正しい手法で実践することが大切です。栄養バランスのいい食事は、勉強や仕事のパフォーマンスアップにもつながるので、ぜひ実践してみてください。
また、スポーツを頻繁に行う人やアスリートが減量や体づくりを行う時には、JSPO公認のスポーツ栄養士やアスレティックトレーナー(JSPO-AT)などの専門家に相談しながら進めていきましょう。そうすることで、プロ指導のもと安心して体づくりができます。

今回紹介したレシピを動画で詳しく解説しています

スポーツをする人におすすめの春レシピ!試合後や練習後の疲れた身体をやさしくリカバリー

ぜひ、皆さんもつくってみてください。
<小嶋理恵子先生 プロフィール>
JSPO公認スポーツ栄養士/管理栄養士。給食委託会社や大学病院、総合病院で約10年間の給食管理業務、臨床栄養指導を経験後、2020年よりアスリートの栄養サポートを行う事業団体「plus N」を主催。代表も務めている。