夏でも「糖質」と「タンパク質源」をしっかり摂取!公認スポーツ栄養士がおすすめする夏レシピを紹介
ささえる
気温の高くなる夏は「夏バテ」などによって一般的に食欲が落ち気味になりますが、炎天下や熱気のこもる屋内でスポーツに取り組む場合は尚更です。とはいえ、そんな時期だからこそ一層、正しい水分補給とともにしっかりと栄養も補給し、健康的に過ごしたいですよね。
そこで、JSPO(日本スポーツ協会)公認スポーツ栄養士の小嶋理恵子先生に、『リカバリー(回復)』をテーマに、夏におすすめのレシピを教えていただきました。
そこで、JSPO(日本スポーツ協会)公認スポーツ栄養士の小嶋理恵子先生に、『リカバリー(回復)』をテーマに、夏におすすめのレシピを教えていただきました。
目次
- 運動中や運動後には水分補給・栄養補給でしっかりとリカバリー
- リカバリーとは「元の状態に戻す」こと
- 疲労の原因は、水分やエネルギー源の減少など
- 試合後や練習後のリカバリーは、段階的に・継続的に
- 空腹での運動は避け、適切なタイミングでエネルギーを補給
- 汗をたくさんかく「夏」は、汗と一緒にミネラルが失われやすく、コンディションを崩しやすい季節
- 暑い夏こそ、夏野菜で暑さに負けない体づくりを!
- 夏は「糖質」中心の食事になりがち。夏こそ「タンパク質」不足に注意を!
- たっぷり夏野菜の冷製パスタで、糖質とタンパク質源をしっかり補給!
- 火を使わない!たっぷり夏野菜の冷製パスタ
- 【材料(2人分)】
- 【作り方】
- 【栄養量】
- 【ポイント】
- レシピは動画でどうぞ!
- 暑い時期にうれしい冷たい食事。でも、胃腸の冷やし過ぎにはご注意を!
- 「食事」も「運動」も正しい知識を持って、正しい手法で実践
- <小嶋理恵子先生 プロフィール>
運動中や運動後には水分補給・栄養補給でしっかりとリカバリー
リカバリーとは「元の状態に戻す」こと
基本的にトレーニングをすると、体の筋肉が傷ついたり、体の中に蓄えられていたエネルギーが無くなっていったりします。この無くなってしまったエネルギーを補給し、(運動)能力を元の状態に戻すことをリカバリーと言います。
なお、この際、傷ついた筋肉が修復する際に、リカバリーを経て以前より強くなることを「超回復」と言います。このいずれも、しっかりとした栄養と休養を確保することが重要となってきます。
疲労の原因は、水分やエネルギー源の減少など
運動をすると、水分やエネルギー源であるグリコーゲンの減少、筋の微細損傷や筋肉痛、脳の疲労など、さまざまな原因によって疲労が起こります。
疲労は、筋力・柔軟性・持久力・集中力の低下を招く原因となるので、水分やエネルギー(糖質・タンパク質)を補給したり、マッサージなどで血液循環を促進したり、睡眠をしっかりとるなどして、疲労の回復(リカバリー)に努めることが大切です。
試合後や練習後のリカバリーは、段階的に・継続的に
リカバリーでは、運動で失われた水分やエネルギー(糖質・タンパク質)をなるべく時間を空けずに補給することがポイントとなります。
試合後や練習後のリカバリーは、運動後の消化吸収能力に合わせて、下記のように段階的に継続してとることをおすすめします。
試合後や練習後のリカバリーは、運動後の消化吸収能力に合わせて、下記のように段階的に継続してとることをおすすめします。
第1段階(運動後30~45分以内)
水分と糖質補給:スポーツドリンク、ゼリー飲料など
水分と糖質補給:スポーツドリンク、ゼリー飲料など
第2段階(運動後1~1.5時間以内)
タンパク質や微量栄養素の補給:おにぎり、サンドイッチなど(水分補給も合わせて)
タンパク質や微量栄養素の補給:おにぎり、サンドイッチなど(水分補給も合わせて)
第3段階(運動後2時間程度)
主食(糖質:ご飯・パン・麺など)、
主菜(タンパク質:肉・魚・卵・大豆製品など)、
副菜(ビタミン・ミネラル:野菜・キノコ類・海藻類など)、
果物(ビタミン・ミネラル)、
乳製品(カルシウム)
など栄養バランスを考えた5つのお皿を心がけましょう。
主食(糖質:ご飯・パン・麺など)、
主菜(タンパク質:肉・魚・卵・大豆製品など)、
副菜(ビタミン・ミネラル:野菜・キノコ類・海藻類など)、
果物(ビタミン・ミネラル)、
乳製品(カルシウム)
など栄養バランスを考えた5つのお皿を心がけましょう。
空腹での運動は避け、適切なタイミングでエネルギーを補給
運動をする時は、満腹でも空腹でもないニュートラルな状態がベスト。そのため、運動を始める2-3時間前には「通常の食事」が食べ終わっていることが理想。運動前の食事は運動時のエネルギー補給のため、炭水化物メインのものを選びましょう。
運動前にお腹がすく場合には、1時間前までに、おにぎり、バナナ、栄養ゼリーなどを補給しましょう。
汗をたくさんかく「夏」は、汗と一緒にミネラルが失われやすく、コンディションを崩しやすい季節
暑い夏こそ、夏野菜で暑さに負けない体づくりを!
体の調子を整えてくれるミネラルの一つであるカリウムは、体内の浸透圧や水分を調整する働きを持っています。また、筋肉の収縮を正常に保つ働きにも関わっており、不足すると「夏バテ」などの症状を引き起こすことがあります。
トマトやきゅうりといった夏野菜は、水分やカリウムを豊富に含んでいるものが多く、体にこもった熱をクールダウンしてくれます。また、カリウムは水に溶けやすい性質があることから、「生」の状態で食べやすい夏野菜は、カリウムの補給源として、とても適しています。
暑い夏こそ旬の夏野菜を積極的に取り入れて、暑さに負けない体づくりを目指しましょう。
夏は「糖質」中心の食事になりがち。夏こそ「タンパク質」不足に注意を!
また、夏は飲み物や冷たいものは食べたいけれど、ご飯などは胃が受けつけず、どうしても主食をそうめんやうどんなど麺類に頼ってしまう傾向にあります。
その際、具材などでタンパク質源が摂れればいいのですが、なかには具材なしの麺だけで済ませてしまう人も多く、その場合、本来必要な「タンパク質源」が1食まるごと抜けてしまうことになります。食欲が落ちる夏こそ、タンパク質源をしっかり摂ることを心がけましょう。
たっぷり夏野菜の冷製パスタで、糖質とタンパク質源をしっかり補給!
そこで、手軽に作れて、糖質とタンパク質源がしっかり摂れる「たっぷり夏野菜の冷製パスタ」の作り方をご紹介します。
調理にかかる時間はおよそ20分。電子レンジと耐熱容器(耐熱皿や調理用プラスチック容器)を使って加熱することで、火を使わず調理時の暑さを回避できる、暑い時期に嬉しいレシピです。
火を使わない!たっぷり夏野菜の冷製パスタ
【材料(2人分)】
パスタ(1.4mm 細めのものがおすすめ)…200g(2束)
茹でたあとに素早く芯まで冷やせる、ソースに絡みやすい、またあまり食欲がないときでも食べやすいなどの理由から1.4mmくらいの細めのパスタがおすすめです。
玉ネギ…1/2個
ナス…1本
ズッキーニ…1/2本
サラダチキン…1パック
野菜ジュース…200㏄
茹でたあとに素早く芯まで冷やせる、ソースに絡みやすい、またあまり食欲がないときでも食べやすいなどの理由から1.4mmくらいの細めのパスタがおすすめです。
玉ネギ…1/2個
ナス…1本
ズッキーニ…1/2本
サラダチキン…1パック
野菜ジュース…200㏄
【調味料】
オリーブオイル…大さじ1
ケチャップ…大さじ2
コンソメ…小さじ1/2
おろしにんにく…小さじ1/2
塩・コショウ…適量
パセリ…少々
オリーブオイル…大さじ1
ケチャップ…大さじ2
コンソメ…小さじ1/2
おろしにんにく…小さじ1/2
塩・コショウ…適量
パセリ…少々
【作り方】
1.玉ネギは厚さ5mm程度の細切りにして、ナスは斜め切り、ズッキーニは輪切りにする。
2.耐熱皿に野菜を並べ、オリーブオイル、ケチャップ、コンソメ、お好みでおろしにんにくを入れ簡単に味をなじませたら、ラップをふんわりかける。600Wの電子レンジで約5分加熱する。
3.軽く火が通ったら、一口大にほぐしたサラダチキンを加えて一度野菜が崩れないように混ぜ、600Wの電子レンジでさらに約5分加熱。加熱後、野菜ジュースを加え、600Wの電子レンジでさらに約2分程度加熱する。粗熱をとったら、冷蔵庫で冷やしておく。
4.電子レンジ調理用のパスタを茹でるプラスチック容器(下写真参照)に熱湯を入れる。分量のパスタを入れ、規定時間茹でる(袋に記載されている時間でパスタを茹でます)。
5.茹で上がったら、氷水でしっかりと麺を冷やし、水気を切る。
6. 5の麺に3を加えて和える。最後にお好みで、塩・コショウで味をととのえる。
7.お皿に盛り付け、飾りのパセリをちらして出来上がり。
【栄養量】
エネルギー:580kcal
タンパク質:27.6g
脂質:9.0g
炭水化物:102.9g
食物繊維量:9.2g
食塩量:2.5g
タンパク質:27.6g
脂質:9.0g
炭水化物:102.9g
食物繊維量:9.2g
食塩量:2.5g
【ポイント】
パスタを専用の容器に入れてレンジで茹でたり、サラダチキンを使用したり、火を使わずに作れるのがこのレシピのポイントです。今回はタンパク質源としてサラダチキンを使用していますが、ツナ缶やはんぺん、かまぼこ、ちくわなどで代用いただいても構いません。
一食分、且つ一人分をサッと用意できますし、火を使わないので特に夏場の調理におすすめです。
また、100%野菜ジュース(食塩無添加がおすすめです)を使うことで、普段摂らない野菜の栄養素も摂ることができます。
また、100%野菜ジュース(食塩無添加がおすすめです)を使うことで、普段摂らない野菜の栄養素も摂ることができます。
機能性表示食品と書かれた商品は栄養素が豊富で、普段滅多に食べない野菜なども含まれているので、ぜひパスタやスープなどに利用してみてください。
レシピは動画でどうぞ!
夏でも「糖質」と「タンパク質源」をしっかり摂取!公認スポーツ栄養士がおすすめする夏レシピを紹介
via www.youtube.com
暑い時期にうれしい冷たい食事。でも、胃腸の冷やし過ぎにはご注意を!
今回は暑い時期におすすめの「たっぷり夏野菜の冷製パスタ」のレシピを紹介しましたが、小嶋先生から冷たい食事を摂る際の注意点についても教えていただきました。
アイススラリーとは…
とても細かいシャーベット状の飲料で、体の内部から冷やし、深部体温を効率よく下げることから、熱中症対策に有効と考えられています。
とても細かいシャーベット状の飲料で、体の内部から冷やし、深部体温を効率よく下げることから、熱中症対策に有効と考えられています。
「食事」も「運動」も正しい知識を持って、正しい手法で実践
「食事」も「運動」も正しい知識を持って、正しい手法で実践することが大切です。スポーツを頻繁に行う人やアスリートが体づくりや減量を行う時には、JSPO公認のスポーツ栄養士やトレーナーなどの専門家に相談しながら進めていきましょう。そうすることで、プロ指導のもと安心して体づくりができます。
特に暑い時期に気をつけたいのが熱中症です。新型コロナウイルスの感染対策としてマスクをつけて運動する場合、熱放散が妨げられ熱中症のリスクが高まるのでご注意ください。
食事と併せて重要になる水分補給についてのポイントも掲載しています。正しい知識で健康に夏を乗り切りましょう。
食事と併せて重要になる水分補給についてのポイントも掲載しています。正しい知識で健康に夏を乗り切りましょう。
<小嶋理恵子先生 プロフィール>
JSPO公認スポーツ栄養士/管理栄養士。給食委託会社や大学病院、総合病院で約10年間の給食管理業務、臨床栄養指導を経験後、2020年よりアスリートの栄養サポートを行う事業団体「plus N」を主催。代表も務めている。
通常、私たちの体は37℃の体温を維持しているポットと同じような状態にあります。体温が上がりすぎてしまうと、熱中症などの不具合を起こすことがあり、その場合、体温を体の内外から冷やす必要があります。
熱中症対策としてアイススラリーなどが注目されていますが、運動後にも冷たい食事を摂ることにより、食欲を維持することができます。
ただし、特に運動などを行わず体温が上がっていない状態で、冷たい食べ物ばかり食べてしまうと、血流が悪くなり胃腸の働きが低下し、かえって体調を悪化させてしまうことに繋がります。
また、冷房についても、適度な温度や使い方は室内の熱中症を予防しますが、冷房疲れを起こしている際には、胃腸を冷やしすぎないように、通常通り温かい食事も取り入れながら、体調管理を行うことをおすすめします。