良いプレーで日本を盛り上げたい。ラグビー日本代表・堀江翔太のルーツを探る

インタビュー
2019年9月20日、第9回目にしてアジア初となるラグビーワールドカップが日本で開催。日本代表の属するプールAには強豪チームが集うも、一次リーグでロシア、アイルランド、サモアに三連勝。

続く10月13日におこなわれたスコットランド戦では、相手チームの強固な守りを崩して28-21で歴史的勝利を収め、初の8強入りを果たしました。

国外からも注目を集めるラグビー日本代表ですが、今回はフッカーとして活躍する堀江翔太選手に、自身の強さのルーツを探るべく話を聞きました。

いろんなスポーツを経験したけど、やっぱりラグビーが楽しかった

ーー堀江選手がラグビーに興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか?また、選手としてプレーする決意はいつ頃しましたか?

小学生の頃、最初はサッカーをやっていたんですが、やめてしまいました。その後、しばらく何もしていない時期があり、結構太っちゃったんです。そのとき、親に「何かしなさい」と勧められたスポーツがラグビーでした。母親の友達の娘さんがラグビースクールに通っていて、その影響もあったと思います。

同じ時期、小学校の友達から誘われてバスケもやっていたんですが、やっぱりラグビーが楽しくて。同じスクールの子がラグビー名門の中学校に行くという話を聞いたこともあり、自分もラグビーが強いチームでプレーしたいなという想いは、この頃からありました。

体が大きいということを逆手に取って活躍できるスポーツって、そう多くはないと思うんですよ。チームに入ったときも、「体が大きいやつが入ってきたぞ」って、それだけで有望視されました(笑)。そういう経験もあって、ラグビーをプレーすることに楽しさや、やりがいを感じていましたね。

ーーご自身のラグビー歴の中で、様々な指導者のもとでプレーされたと思いますが、最も印象に残っている指導者とのエピソードをお聞かせください。

僕は、首をけがして、物を何も持てなくなってしまった時期があったんです。お茶碗もコップも持てない、爪も切れないという状態でした。そんなときに出会ったのが、今の佐藤義人トレーナーです。彼に出会ってからは、けががぐんぐん回復していきました。

佐藤トレーナーがいなかったら、2015年ワールドカップ・イングランド大会のグラウンドに立つことはもちろんなかったし、たぶんすぐに引退を決意していたと思う。

けがで引退が頭をよぎったとき、僕はこうした支えがあってこそ普段ラグビーをプレーできているんだと気付くことができました。

なので、口だけじゃなくてグラウンド上で良いプレーをすることで、ラグビーを通して出会った僕を支えてくれるいろんな人に対して恩返しをしたいと常に思っています。

どれだけ良いラグビーをプレーするかが選手の仕事

ーーラグビーはルールが難しいという声もあります。初めてラグビーを観戦する人やこれから選手としてプレーしようと考えている人にとって、「する」「みる」の両面から本競技の魅力を教えてください。

たしかにラグビーはルールが難しい・分からないと言われることが多いです。でも個人的には、見る人がラグビーを楽しむには「ボールを前に落としちゃダメ」「ボールを前方に投げちゃダメ」という二点だけ覚えていれば大丈夫です。それよりも、人と人とが激しくぶつかり合うという、格闘技要素が入った球技はあまりないと思うので、それだけでもラグビーは魅力のあるスポーツだと思っています。

また、僕自身がサッカーやバスケを経験してきて、その中でもラグビーは一番達成感を感じることができました。ラグビーは15人でやるスポーツです。全員が力を合わせて試合に臨むのですが、自分の心身の状態をしっかりと整えるために、苦しいトレーニングを乗り越えて準備をしなくてはなりません。選手として、そのすべてを一試合にぶつけ、やりきったあとの達成感って、なかなか味わえないと思いますよ。

ーー2015年ワールドカップのイングランド大会では、日本中がラグビーに沸き立っていました。2019年の日本大会でラグビーをもう一度盛り上げ、今後も発展し続けていくのに必要なことは何だと思いますか?

個人的にイングランド大会では、「勝ってよかったね」で終わってしまっていたような気がする。

それぞれの選手ができることでいうならば、どれだけ良いラグビーをプレーするかです。常に良いラグビーを追い求めていくのは、選手の仕事でもありますからね。

協会やメディアと連携していかにラグビー選手をうまく使ったプロモーションをしていくかが、今後ラグビー界全体を巻き込んで盛り上げていくには大切なんじゃないかなと思っています。もちろん僕も、言われれば何でも協力しますよ。

国体は『勝ち』にこだわらず全力でプレーすることが大切

ーー堀江選手は過去に国体にも出場経験があります。ワールドカップも開催され、国内でもラグビーに注目が集まる中で、一選手として国体に期待するところはありますか?

自分の経験でいうと、僕はラグビーに関してほとんど無名の公立高校出身なんです。有名校・強豪校に限らず、国体に出るのであればそういった高校の選手たちにも頑張ってほしいなと思います。

国体は自分の力をアピールする場なんです。僕自身、国体に出場していなければ、U-19や大学でも活躍できなかったと思う。だから、『勝つ』ということにこだわらず、持てる力をすべて出してプレーすることが大切です。

堀江翔太選手プロフィール

堀江 翔太(ほりえ しょうた)
大阪府出身、パナソニックワイルドナイツ所属のフッカー(HO)で、日本代表としても活躍。身長180cm、体重104kg。ニックネームは「しょうた」、「ホリエ」。趣味はギターと沖縄三味線、ダラダラすること。座右の銘"勇気なくして栄光なし"。