「我々にしかできないことを追い続ける」ポカリスエット誕生40周年をむかえる大塚製薬の想い

コラム
昨今、健康への意識が高まる中で、食生活に気を使うことはもちろんランニングやジム通いなど、運動を日課にする人も増えています。

そんな現在の健康ブームよりもはるか以前から世の中の健康を支え続けている大塚製薬は、医療分野での貢献はもちろん、その経験やデータを活かした科学的根拠に基づく飲食料品を通して私たちの体のことを考え続けてきました。

大塚製薬の代表的商品であるポカリスエットが40周年をむかえる2020年を前に、執行役員・ニュートラシューティカルズ事業部長補佐でもある佐藤真至氏に、同事業の最前線を走り続けてきたポカリスエットへの想いと、同社の今後についてお話を伺いました。

誰よりも創造性を大切に。大塚製薬の企業理念

ーー大塚製薬様の企業理念には「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」とありますが、大塚製薬様の考える"革新的"とはどういったものを指すのでしょうか?

当社は「ものまねをせず、世界に通じるものを創る」というモノづくりの姿勢で、医療関連事業とニュートラシューティカルズ関連事業(以下、NC関連事業)の両輪事業を営む強みを活かして製品を生み出しています。

医療関連事業では、世界中の患者さんに役立つ新薬をつくり出すため、アンメット・メディカル・ニーズとよばれる顕在化しているものの満たされていないニーズに焦点をあて、独自のアプローチで研究開発を行っています。

一方、NC関連事業では、医療関連事業の研究で培われたノウハウを活かし、消費者が気付いていないニーズを掘り起こし、健康課題を解決する、科学的根拠に基づいた製品を開発。また、正しい情報とともにその製品価値を粘り強くひろめていくことで、新たな市場をつくり出しています。

例えば、ポカリスエットは、失われる水分と電解質を手軽に補給することができる「汗の飲料」という開発コンセプトと製品価値を伝え続けたことによって、「イオン飲料」という新しい市場をつくりました。

NC関連事業製品には大きなこだわりが3つあります。まず1つ目は、健康に良いというエビデンスに裏付けされた、科学的根拠のある製品であること。2つ目は、私たちのサービスが医療従事者にも支持されるような提案であること。3つ目は、生活者がまだ気づいていないニーズを見つけ出して、より豊かな日常生活が送れるように、新しいカテゴリーで健康価値を創造していくことです。

こうして大塚の強みやこだわりから生まれた製品は、他にない、独自の健康価値を持ったものとなるのです。

ーー大塚製薬様の礎には「流汗悟道」「実証」「創造性」という3つの精神があります。これらの考え方が生まれた理由や背景を教えてください。

これらは大塚製薬の三代に渡る先人の経営者たちの考えです。彼らは「様々な発想をアイディアだけで終わらせるのではなく、患者さんや消費者の方々が求めていることを解決するために、諦めることなく取り組み続け、先入観を打ち破り、発想の転換をしていくこと」の大切さを私たちに伝えようとしました。

まず、「流汗悟道」。これは「単なる知識だけではなく、自らが汗を流し実践して感じることの中に本質がある」ということで、今までの大塚製薬の歴史の中でも徹底してきた、根底にある考え方だといえます。

「実証」は、「物事を成し遂げ完結することで、自己実現そして真理に達する」。
最後の「創造性」は、「真似をせず、大塚にしかできないことを追求する」という意味です。

今や会社にとって独自性・創造性は重要な要素の一つですが、その中でも特に大塚製薬では、製品だけでなく、営業や広報、経理、バックオフィスまで、あらゆる側面で創造性を持って取り組む企業です。

大塚だからこそできること。ポカリスエットへのこだわり

ーーNC事業において、大塚製薬様の看板商品であるポカリスエットの開発と普及にはどのような意味があったとお考えでしょうか?

私たちが生きるための基礎ともいえる水分と電解質の補給の大切さを世に浸透させたことでしょうか。

ポカリスエットは、「飲む点滴液」をヒントに、汗で失われる水分と電解質(イオン)をスムーズに補給できる「汗の飲料」というコンセプトが加わり開発がスタートしました。当時の日本は、経済成長とともに健康志向が高まり、スポーツやアウトドアなどで日ごろから汗をかくシーンも増加していました。より多くの人に飲んでもらえるようにあえてスポーツに限定せず、“日常生活のなかで飲む健康飲料”を目指して研究開発が進められ、1980年「ポカリスエット」は誕生しました。

発売後も、日常生活で身体から水分が失われるシーンを徹底的に洗い出し、製品コンセプトと、水分と電解質補給の重要性を伝えていきました。当時はスポーツ時の水分補給はタブーとされていた時代。「ポカリスエット」は水分・電解質補給の必要性を証明し、それは今や常識のこととなっています。

中でも、熱中症という言葉も浸透していなかった1992年、スポーツ活動中の熱中症事故の防止を目的に、企業として初めて当時の日本体育協会さんへ協力を開始し、長い時間をかけて協働で啓発活動を行い、安全にスポーツを行うために必要な熱中症対策の概念をひろめられたことは、大塚らしい取り組み、大塚だからこそできたことであったと考えています。そして今ではこの概念は、スポーツシーンだけでなく、職場での労働安全衛生、高齢者の水分補給などにも応用されています。
熱中症対策の出前授業

熱中症対策の出前授業

ーーポカリスエットの開発コンセプトは栄養と水分の同時補給ですが、特に熱中症が懸念される夏の時期以外にも、私たちの身体からは常に水分が失われています。熱中症や脱水症状の予防にあたり、ポカリスエットはどのような点にこだわって作られているのでしょうか?

ポカリスエットは、スポーツのみならず、仕事のとき、お酒を飲んだ後や入浴・就寝の前後など、様々なシーンにおいて渇いた体を潤すのに適しています。

本製品は発汗により失われた水分、イオン(電解質)をスムーズに補給するための健康飲料です。体液に近い成分を適切な濃度で含んだ電解質溶液ですので、体内にすばやく吸収されます。

ポカリスエット(250ml、500ml、900ml、1.5L、2L)には0.1〜0.2%の塩分と5.7%の糖質が含まれており、もちろんこの甘さにもわけがあります。これは、腸から身体の中へ、すみやかに水分を吸収するのに適した糖質濃度なのです。

スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック(日本スポーツ協会) の作成に協力

また、JSPO(日本スポーツ協会)さんは「スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック」の中で、「1時間以上の運動をする場合には、0.1~0.2%の塩分と4~8%程度の糖質を含んだものが疲労の予防だけでなく水分補給効果にも役立ちます」としています。特にスポーツにおいて、たくさん汗をかくときに飲む飲料は、エネルギー補給だけでなく、水分の吸収スピードのためにも、ポカリスエットのような糖質を含んだ飲料が適しているのです。

ーー発売後もさらなる応用を目指し研究開発を続けていますね。

発売以降、水分と電解質補給の研究を続け、脱水時だけでなく、冬の乾燥時や入浴時、飛行機搭乗中に生じる深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)など、さまざまなシーンでの有用性について科学的根拠を見出しています。

2018年にはこれまでの熱中症研究で蓄積したノウハウをもとに「ポカリスエット アイススラリー」を発売しました。この製品は、これまでの発汗によって体温を下げる(そして発汗で失った水分・電解質を正しく補給する)というアプローチとは異なる「深部体温を下げる」ということに着目したものです。産官学による共同研究の成果を元に、新たな熱中症対策飲料としての選択肢を提案しています。

ーー現在ポカリスエットは世界20ヶ国・地域以上で愛飲されていますが、今後ポカリスエットが本事業において果たす役割や期待していることをお聞かせください。

来年発売40周年をむかえるポカリスエットは、海外の展開も拡がりをみせています。各国の文化や習慣にあわせ、健康課題を解決する提案をさせていただいて、その有用性の認知も広がっています。

世界的にも健康課題が注目され健康意識が高まる中、健康でいきいきと生きていくために必要な「水分補給」が改めて見直されています。我々としては変わらずお役に立てるよう、様々なステークホルダーの方々と一緒に課題の解決に取り組みたいと思っております。

ポカリスエットワールドマップ (大塚製薬HP)

大塚製薬とJSPO、共に歩んできた歴史

ーー大塚製薬様がJSPOにスポンサーとして協賛した背景には、お互いが見据える先に何か交わるものや共感できるものがあったからだと思います。どのような部分が協賛実現のキーポイントとなったのでしょうか?

ポカリスエット発売後からの長いお付き合いの歴史があります。

ちょうど国民スポーツ推進キャンペーンがスタートしたころでしょうか。スポーツ振興、スポーツを広げていこうとする協会と、「健康に貢献する」を企業理念とし、科学的根拠に基づいた製品を新しい領域(スポ―ツ領域)で新しい考え方で活動の幅を広げていきたいと考えていた大塚の方向性が合致したことが協賛の背景です。

スポーツと健康には深い関係があります。スポーツ医科学の振興のため活動にも積極的に協力しています。

JSPOさんは1991年に熱中症研究班を立ち上げられて、その成果を熱中症予防ガイドラインとしてまとめられました。1992年の協賛以来、当社としても継続的な研究活動とガイドブックやビデオなどの作成にご協力させていただいたり、これら資材を用いた公認スポーツ指導者を中心としたセミナーなどを通じて熱中症予防啓発の活動を行ってきました。


当社NC関連事業では48の学術文献、他に類を見ない回数、対象人数の熱中症予防の出前授業を通じ熱中症の啓発活動を行っています。現在は「熱中症」という言葉も、予防・対策のための「水分・電解質補給」も常識となっていますが、研究班の先生方と共に熱中症予防研究だけでなくこうして啓発活動も実施してきた影響は大きいと思います。

そして、この時築かれたアカデミアのつながりは、企業の安全衛生分野のほか、一般の生活者の熱中症対策へもつながっていきます。

「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」を目指して

ーーNC関連事業と医療関連事業という2本柱を考えたとき、今後大塚製薬様が考えるあるべき姿として、「大塚にしかできないこと」「大塚だからできること」とは何ですか?

大塚は現在、スポーツ領域においては、健康課題を解決するために生み出された製品群で、アスリートのコンディショニング(熱中症対策、栄養、体調管理など)や女性アスリート特有の健康課題へのサポートを行っています。

国際的なスポーツイベントが続く中、スポーツと健康との関連はますます注目されていきます。スポーツ分野と一般的生活者の健康課題には共通点が多く、応用が可能です。

今後も「世界の人々の健康に貢献する革新的な製品を創造する」を企業理念とする当社は、医薬とNC関連事業の両輪で事業を行うトータルヘルスケアカンパニーとして、生活者がまだ気づいていない潜在的なニーズを探り、両輪事業の強みを活かし、社会的な健康課題を解決する科学的根拠に基づいた製品やサービスを提供してまいります。

そして「世界の人々の健康に貢献する、なくてはならない企業」、「健康のことなら大塚製薬に聞いてみよう」といわれるような存在を目指していきます。