JSPOが行うスポーツ環境整備とは。世代・技術・地域を越えた取り組みについて解説
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何かスポーツをはじめようと思ったとき、あなたはどんな選択肢を思い浮かべるでしょうか。スポーツの経験がある人ならば、自分一人でジョギングをはじめたり、身体を鍛えるためにスポーツジムに通ったり、学生時代にしていたスポーツを再開してみようと思う人もいるかもしれません。
目次
- 日本ではスポーツが日常的な生活習慣になっていない
- 1980年代頃から子どもたちの運動量が減少
- JSPOの目的のひとつは、誰もがスポーツに親しむ機会を増やし、スポーツを普及していくこと
- 男性の場合、平均寿命は81歳なのに健康寿命は72歳というデータも
- 世代・技術・地域を越えて、すべての人々に「スポーツへの入口」を
- 「総合型地域スポーツクラブ」は、幼児から高齢者までたくさんの人が楽しめる多種目・多世代・多志向のスポーツクラブ
- 地域住民による地域住民のためのスポーツクラブ
- かつてはあのトップ選手も所属。「スポーツ少年団」は日本最大の青少年スポーツ団体
- スポーツ少年団の理念
- 50年以上の歴史、全国に約60万人の団員が所属
- 快適なスポーツライフのために、「公認スポーツ指導者」を養成
- 常に自らも学び続ける、JSPOの公認スポーツ指導者
- プレーヤーズセンタードとは
- スポーツの環境整備は、地域の絆を深め、地域の生活をより豊かにする
- スポーツを通して地域を活性化
いっぽうで、あまりスポーツの経験がない人の場合は、何からはじめていいかわからず、その一歩がなかなか踏み出せないでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は、これまでスポーツに馴染みがなかった人たちにもぜひ知ってほしい、JSPOが行うスポーツの環境整備について紹介します。
今回は、これまでスポーツに馴染みがなかった人たちにもぜひ知ってほしい、JSPOが行うスポーツの環境整備について紹介します。
日本ではスポーツが日常的な生活習慣になっていない
スポーツ庁が国民のスポーツ実施状況を調査したデータによると、成人の週1日以上のスポーツ実施率は59.9%で、運動不足を感じると回答した割合はなんと79.6%にも及びます。
こうしたデータからも、学校での「体育」の授業や、運動部の「部活動」が終了した後は、スポーツに親しむ機会がぐっと少なくなり、特に若い世代の方々は、仕事や家事・育児の忙しさなどの時間的あるいは経済的な理由から、大半の人がスポーツから離れてしまう傾向にあることがわかります。
こうしたデータからも、学校での「体育」の授業や、運動部の「部活動」が終了した後は、スポーツに親しむ機会がぐっと少なくなり、特に若い世代の方々は、仕事や家事・育児の忙しさなどの時間的あるいは経済的な理由から、大半の人がスポーツから離れてしまう傾向にあることがわかります。
1980年代頃から子どもたちの運動量が減少
テクノロジーが発達するいっぽうで、たびたび現代の子どもたちの体力低下が問題視されます。そもそも子どもたちの運動量が減ったのは1980年代。この時期は家庭用ゲーム機が普及し始め、安全意識の高まりとともに、木登りや、空き地や道路での遊びができなくなるなど、だんだんと子どもの運動する機会が狭まり、体力低下が懸念されるようになってきました。
幼少期の運動機会の有無は体力にとどまらず、心身の発達にも広く影響を与えています。昔ながらの幼少期の身体を使った遊びにはさまざまな動きが含まれていて、1980年代以前の子どもたちはそうした動きを通して、自然と自分自身の身体をうまくコントロールする術を身につけていました。
JSPOの目的のひとつは、誰もがスポーツに親しむ機会を増やし、スポーツを普及していくこと
「スポーツと、望む未来へ。」をコーポレートメッセージとして掲げるJSPOの目的のひとつに、各競技や競技団体、地域のスポーツ組織を支援、育成することで、誰もがスポーツに親しむ機会を増やし、さらにスポーツを普及していくことがあります。
何かしらの理由があってスポーツに接することができないような状況を解消し、誰一人取り残されることなくスポーツの楽しさや喜びに出会えるように、JSPOでは、子どもから高齢者まで、人種、国籍、性別、障がいや疾病の有無にかかわらず、遍(あまね)く人々が生涯にわたりスポーツを安全に楽しく「する、みる、ささえる」環境を整備していくための事業を推進しています。
男性の場合、平均寿命は81歳なのに健康寿命は72歳というデータも
幼少期において運動量が少なくなり、学校での体育や部活動が終了した途端にスポーツの機会が減ってしまう…。こうした生活習慣だと、大人になった途端に体力が低下して疲れやすくなったり、リフレッシュする機会がなくなったり、身体的にも精神的にも大きな影響を及ぼすことになってしまいます。
実際の例として、男性の場合、平均寿命は81歳であるのに対し、健康に活動できる健康寿命は72歳であるという厚生労働省のデータがあります。これは、この約10年の間に、病院通いや寝たきりになってしまう可能性を示唆しています。
健康寿命を延ばすことでこの約10年間の差を縮め、より豊かなシニアライフを送ることができるようアプローチすることも、JSPOが担っている役割のひとつです。
世代・技術・地域を越えて、すべての人々に「スポーツへの入口」を
JSPOでは、スポーツを「する」人はもちろん、観戦や応援、分析などのスポーツを「みる」人も、ボランティアやイベント運営に携わるなどのスポーツを「ささえる」人も、さまざまな立場からスポーツを楽しめるような環境整備に取り組んでいます。
なかでも、スポーツをはじめたいと思っている人にとって最も身近な存在といえるのが、「総合型地域スポーツクラブ」や「スポーツ少年団」です。
「総合型地域スポーツクラブ」は、幼児から高齢者までたくさんの人が楽しめる多種目・多世代・多志向のスポーツクラブ
「総合型地域スポーツクラブ(総合型クラブ)」は、一般的に「地域の人々の年齢、興味関心、技術技能レベル等に応じたさまざまなスポーツ機会を提供する、『多種目』『多世代』『多志向』のスポーツクラブ(※1)」として、各都道府県の市町村単位で整備が進められ、全国に3,500以上(※2)ものクラブが設置されています。
地域住民による地域住民のためのスポーツクラブ
総合型地域スポーツクラブは、まさに地域のためのスポーツクラブとして、地域住民の声が大きく反映されています。運動する環境がない地域では、住民の声によってクラブが設立された例も少なくありません。地域住民に開かれたスポーツクラブでは、その運営も地域住民が中心になって行っています。
新しいプログラムを希望する声にも柔軟に対応し、いろいろなスポーツを、幼児から高齢者までたくさんの人が思い思いの目的で楽しむことができるのが、総合型地域スポーツクラブの特徴です。
また、スポーツ以外にも、茶道や華道などの文化活動や、地域の美化活動、学童保育や交流サロン、さまざまなイベントの企画など、地域住民の交流の場としても利用されています。
かつてはあのトップ選手も所属。「スポーツ少年団」は日本最大の青少年スポーツ団体
「スポーツ少年団」では、子どもたちはスポーツを楽しむだけではなく、学習活動、野外活動、レクリエーション活動、社会活動、文化活動などを通じて協調性や独創性を養い、社会のルールや思いやりのこころを学びます。
スポーツ少年団の理念
・一人でも多くの青少年にスポーツの喜びを提供する
・スポーツを通して青少年のこころとからだを育てる
・スポーツで人々をつなぎ、地域づくりに貢献する
・スポーツを通して青少年のこころとからだを育てる
・スポーツで人々をつなぎ、地域づくりに貢献する
50年以上の歴史、全国に約60万人の団員が所属
「日本スポーツ少年団」は50年以上の歴史があり、全国に約60万人の団員が所属しています。入団する年の4月1日時点で、満3歳以上の未就学児から加入が可能(※)です。
東京2020大会で活躍したアスリートをはじめ、現在、プロ選手やトップアスリートとして活躍する人たちのなかにも、小学生の頃からスポーツ少年団に所属して、スポーツを楽しんでいた人が多数います。
東京2020大会で活躍したアスリートをはじめ、現在、プロ選手やトップアスリートとして活躍する人たちのなかにも、小学生の頃からスポーツ少年団に所属して、スポーツを楽しんでいた人が多数います。
また、「スポーツ少年団」は、幼児期から青少年期までのスポーツを担える日本最大の青少年スポーツ団体として、楽しみながら積極的に身体を動かせる「JSPO-ACP(アクティブチャイルドプログラム)」の普及にも取り組んでいます。
※単位団によって募集している対象年齢が異なる場合もあります。
快適なスポーツライフのために、「公認スポーツ指導者」を養成
スポーツをする際には、正しい知識を持った指導者の存在が不可欠です。JSPOでは、生涯を通じた「快適なスポーツライフ」を構築するため、その推進の中心となる指導者を育成しています。
「公認スポーツ指導者」は、スポーツ医・科学の知識を活かしてスポーツを「安全に、正しく、楽しく」指導し、その「本質的な楽しさ・素晴らしさ」を伝える役割を担っています。
「公認スポーツ指導者」は、スポーツ医・科学の知識を活かしてスポーツを「安全に、正しく、楽しく」指導し、その「本質的な楽しさ・素晴らしさ」を伝える役割を担っています。
常に自らも学び続ける、JSPOの公認スポーツ指導者
スポーツの価値やスポーツの未来への責任を自覚し、「プレーヤーズセンタード」の考え方のもとに暴力やハラスメントなどあらゆる反倫理的行為を排除し、常に自らも学び続けながらプレーヤーの成長を支援することを通して、豊かなスポーツ文化の創造やスポーツの社会的価値を高めることに貢献していく。JSPOでは、こうした考えを理解し、体現していく指導者(公認スポーツ指導者)を育成しています。
プレーヤーズセンタードとは
プレーヤーを中心に据えつつも、プレーヤーを取り巻くアントラージュ(プレーヤーを支援する関係者)自身も、それぞれのWell-being(良好・幸福な状態)を目指しながら、プレーヤーをサポートしていくという考え方です。
▶詳細はこちら:日本スポーツ協会公認スポーツ指導者概要
スポーツの環境整備は、地域の絆を深め、地域の生活をより豊かにする
JSPOが行うスポーツ環境整備は、「スポーツ宣言日本」が示す21世紀のグローバル課題に対する下記の使命達成に向けて、特に直結する取り組みのひとつです。
▶詳細はこちら:「スポーツ宣言日本」で示された課題
〈スポーツ宣言日本(一部抜粋)〉
『一.スポーツは、運動の喜びを分かち合い、感動を共有し、人々のつながりを深める。人と人との絆を培うこのスポーツの力は、共に地域に生きる喜びを広げ、地域生活を豊かで味わい深いものにする。
21世紀のスポーツは、人種や思想、信条等の異なる多様な人々が集い暮らす地域において、遍く人々がこうしたスポーツを差別なく享受し得るよう努めることによって、公正で福祉豊かな地域生活の創造に寄与する』
『一.スポーツは、運動の喜びを分かち合い、感動を共有し、人々のつながりを深める。人と人との絆を培うこのスポーツの力は、共に地域に生きる喜びを広げ、地域生活を豊かで味わい深いものにする。
21世紀のスポーツは、人種や思想、信条等の異なる多様な人々が集い暮らす地域において、遍く人々がこうしたスポーツを差別なく享受し得るよう努めることによって、公正で福祉豊かな地域生活の創造に寄与する』
スポーツを通して地域を活性化
「総合型地域スポーツクラブ」や「スポーツ少年団」などスポーツの環境を整備することで、そこに集まる人(スポーツをする・みる・ささえる人)たちの交流が生まれ、地域を活性化させるきっかけにもなります。
また、「公認スポーツ指導者」は、スポーツを「安全に、正しく、楽しく」行う上で欠かすことのできない存在です。
また、「公認スポーツ指導者」は、スポーツを「安全に、正しく、楽しく」行う上で欠かすことのできない存在です。
JSPOではこうした各地域での取り組みを推進することで、21世紀の新しいスポーツの使命の達成に貢献するとともに、より多くの人たちがスポーツの楽しみや、人生の生きがいに出会えることを望んでいます。